【初心者フリーランス必見】請求書の書き方と疑問点について解説

にしみねひろこ

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2021.02.10
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フリーランスになって最初の「請求書」発行では、「請求日はいつ?」「何を記載しなければいけないの?」など、疑問点が多いと思います。

面倒かもしれませんが、請求書発行などの事務作業も大事な仕事の一つです。きちんとやっておかなければ未払いなどのトラブルや、会計処理の際の資料不足などにもつながりかねません。

そこで今回はフリーランスになりたての方向けに、請求書の書き方や作成手順、保管のルールなどの基本事項を解説するとともに、よくある疑問にお答えします。


▼ 目次
1. フリーランスには必須!請求書とは
1-1. 請求書の役割とは?
1-2. 請求書発行の手順
2. 【図解】請求書に書くべき内容とサンプル
3. 請求書でよくある疑問と注意点
3-1. 印鑑は必要?個人名の印鑑でも大丈夫?
3-2. 作成はWord?Excel?手書きでもいい?
3-3. 提出方法はメール添付?郵送?
3-4. 振込手数料、源泉徴収の扱いはどうすればいい?
3-5. 消費税は請求できる?
3-6. 振込金額が請求書の金額よりも少ないのはなぜ?
3-7. 請求書はいつまで保管しておけばいい?
4. まとめ


 

フリーランスには必須!請求書とは

フリーランスとして仕事をした際、必ずやらなければいけないのが請求書の発行です。まずは請求書の役割や作成ルールについてご紹介します。
 

請求書の役割とは?

「請求書」とは、取引先に納めた商品やサービスの代金支払いを求める書類です。

個人事業主・フリーランスでは、例えば企業の広報・PRの「業務委託費」、ライターの「原稿料」などを請求する際に利用します。

請求書はそもそも法律で発行が義務付けられた書類ではありません。あくまで任意で作成されています。

ただしフリーランスにとって、作成は必須です。

個人事業主の場合、帳簿関係の書類などとともに一定期間の保管が義務付けられています。保管していないこと自体に罰則はありませんが、例えば帳簿書類を保管していないと、税務調査の際に書類が提示できず、青色申告を取り消されるなどのリスクがあります(所得税法150条)。

一方で、作成しておけば未払いなどのトラブルになった際に取引内容や金額を示す証拠として役に立つなど、メリットがあります。取引先にとっても経理業務で必要です。

発行方法などについては、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
 

 

請求書発行の手順

請求書は一般的に、商品やサービスを納品したタイミング、またはその月の月末などに発行します。

請求の方法には取引ごとに発行する「都度方式」と、締日などにまとめて請求する「掛売方式」があります。

取引先によって「一件ずつ請求書を分けてほしい」「交通費は別の用紙にしてほしい」など、指定があることも少なくないため、発行方法を確認しておきましょう。

なお請求書を発行した際は、必ず原本またはコピーを保管しておきましょう。確定申告で利用するほか、一定期間は保存が必要です。
 
 

【図解】請求書に書くべき内容とサンプル

請求書の内容には法律上の決まりはなく、フォーマットも自由です。とはいえ内容が不明確だと役に立ちません。

国税庁のウェブサイトでは、記載すべき内容として次の項目をあげています。

・書類作成者の氏名または名称
・取引年月日
・取引内容
・対価の額(税込)
・書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
(参照:国税庁「No.6625 請求書等の記載事項や発行のしかた」)

ただしこれは最低限の内容です。実際の請求書では、より詳細な内容が記載されます。
一般的には次のような内容が盛り込まれますので、参考にしてください。

発行日、請求日

請求書の作成日を記入します。

通常は「書類の作成日」ではなく「取引先の締日」を記載します。例えば月末締め翌月末払いの場合には、その月末の日付です。


請求書番号

請求書ごとに番号をふっておきましょう。必須ではありませんが、あった方が管理しやすくなります。


書類タイトル

「請求書」「御請求書」などが一般的です。


請求先情報

取引先の会社名や個人名を記載します。

会社の場合は「御中」、個人の場合は「様」を付けましょう。住所や部署名、電話番号を盛り込んでも構いません。


請求者の連絡先

自分・自社の氏名、電話番号などを記載します。

なお問い合わせ対応用に氏名や電話番号の記載は必要ですが、住所は絶対ではありません。なくても請求書の効力自体には問題はないため、取引先から指摘がなければ割愛しても良いでしょう。

請求書への住所の記載については、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
 


請求合計金額

消費税などを含めた合計金額を記載します。下部に記載する請求内容の「合計」と同額です。


請求内容

「商品・サービス名」「数量」」「単価」「金額(税抜)」を記載します。

商品・サービス名の記載方法にルールはありませんが、同じような内容が続く場合には混同を防ぐためにできるだけ正確に記載しましょう。

納品日などの日付を記載して区別するのもおすすめです。


小計

請求する商品・サービスの合計金額を税抜で記載します。Excelで作成した場合は計算式を入れておくと楽です。


消費税

消費税を計算します。Excelで計算式を入れておくと楽です。


源泉徴収税

原稿料など一部の所得については源泉徴収税の対象です。税率は10.21%です(請求額が100万円以下の場合)。

対象の場合、計算のうえで記載しましょう。


合計

小計と消費税の合計金額から源泉徴収税額を差し引いた金額です。Excelで計算式を入れておくと楽です。

上部の「請求合計金額」には同じ金額を入れましょう。


振込先

報酬の振込先となる事業用口座や個人口座を記載します。

「金融機関名」「支店名」「口座種別」「口座番号」「口座名義」を記しましょう。

上部の社名・個人名とともに記載することも可能です。配置に決まりはありません。


支払期限

取引先に確認して支払期限を書きましょう。


備考・特記事項

振込手数料を相手が負担する場合は「振込手数料は御社負担でお願い致します」などの文言も入れます。

その他記載しておくべきことがあればこの欄を活用しましょう。
 
 

請求書でよくある疑問と注意点

請求書はフォーマットがあったとしても、記載方法で迷うことも多いものです。

筆者も最初は細かい部分のルールがわからず、よく検索をしていました。そこでここでは請求書の作成・発行でよくある疑問や注意点をご紹介します。
 

印鑑は必要?個人名の印鑑でも大丈夫?

請求書への押印は必須ではありません。押印がなくても請求書の効力は変わりません。取引先によっては社内規定で要・不要が定められていますので、聞いてみましょう。

なお印鑑は個人名でも会社名でも構いません。電子印鑑でもOKです。一般的には請求者名の右横に、文字に被らせて押印します。
 

作成はWord?Excel?手書きでもいい?おすすめのテンプレートは?

請求書に決まったフォーマットはなく、作成はWordでもExcelでも手書きでも構いません。ただし手書きは読みにくかったり、A4サイズでなかったりして取引先が扱いづらいと感じることも多いため、パソコンでの作成をおすすめします。

インターネット上ではいろんなタイプの請求書テンプレートが無料配布されています。無料テンプレートでは「マネーフォワード クラウド」「ビズオーシャン」が、見やすく扱いやすいのでおすすめです。

自分の氏名や住所などを入力し、項目も自分なりにアレンジして自分なりのテンプレートを作っておけば、さまざまな請求の場面で役に立ちます。フリーランスとして独立したら早めに作っておきましょう。

なお筆者の経験上、取引先から「弊社のフォーマットを使ってください」とファイルを渡されることもめずらしくありません。

内容についても「商品名はこのように記載してください」とよく指定されます。その場合、特別問題がなければそれに従いましょう。
 

提出方法はメール添付?郵送?

提出方法にも決まりはなく、プリントアウトして郵送してもメールに添付しても、Googleドライブにアップしても構いません。通常は取引先から指定があります。

なおメール添付やドライブへのアップの場合、WordやExcelのままだと改変のおそれがあります。必ずPDFに変換してから送りましょう
 

振込手数料、源泉徴収の扱いはどうすればいい?

フリーランスの場合、通常、振込手数料は取引先が負担します。ただしまれに自己負担のケースがありますので、契約の際に確認しておきましょう。

また「原稿料、講演料」「弁護士、公認会計士などへの報酬」など、一部の所得は源泉徴収の対象です。税率は10.21%です。対象の場合には請求書に記載し、請求額の計算に含めましょう。

思い込みで作成して請求書の修正・再発行となると面倒ですので、「小計、消費税、源泉徴収税、合計金額」については、具体的な金額を明示して取引先に確認してもらってから請求書を作成しましょう。

金銭の話は聞きづらいかもしれませんが、筆者もそこをためらったために作り直すことになり、結果的に取引先にも迷惑をかけたことが何度もあります。自分だけでなく相手のためにも、確認は怠らないでください。

なお源泉徴収について、詳しくはこちらで解説しています
 

 

消費税は請求できる?

消費税は売上が1,000万円以上の事業者でなければ請求できないと思われがちですが、実際には売上規模に関わらず請求可能です。

請求書に記載する際は、事前に取引先に内税・外税(税込・税抜)を確認しておきましょう。

消費税についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
 

 

振込金額が請求書の金額よりも少ないのはなぜ?

請求書の金額と実際に振り込まれた金額に差がある場合、取引先から振込手数料や源泉徴収税が引かれている可能性があります。

事前に振込手数料などの扱いについて確認して請求書に記載しておけば、お互いの認識に差がなくなり安心です。源泉徴収税が引かれている場合には、支払調書ももらいましょう

なお取引先の事務的なミスの可能性もありますので、疑問に思ったら必ず確認してください。
 

請求書はいつまで保管しておけばいい?

所得税法により、帳簿書類は一定期間の保存が義務付けられています。

個人事業主で青色申告の場合、請求書や見積書、契約書などの保存期間は「5年間」、仕訳帳や売掛帳などの「帳簿」や損益計算書などの「決算書類」については「7年間」です。白色申告も請求書などの保存期間は「5年間」です。

保存期間中に税務調査が入った場合、書類が保管されていないと不利益を被る可能性があります。ファイルなどに分類して、きちんと保管しておきましょう。

筆者は月末にその月の請求書を確認して会計ソフトに入力し、書類は月ごとにまとめてファイルに保管しています。確定申告が終わったら領収書などとともに、年別のボックスにしまっています。

事務作業に慣れてきたら、書類は自分なりの仕分け・保管ルールを決めて管理していきましょう。
 
 

まとめ

初めての請求書作成は、記載方法や発行のタイミングなど、わからないことが多いと思います。その場合、もちろん自分で調べることは必要ですが、取引先に確認することも大事です。

間違った内容で送ると再発行の手間が生じるほか、取引先にも迷惑がかかります。

慣れるまでは一つ一つ丁寧に確認しつつ、進めていきましょう。
 

にしみねひろこ
この記事を書いた人

にしみねひろこ

フリーライター。6年半の報道記者経験を活かして、インタビューや各種コラム、取材、企画・広告記事、プレスリリースなどを執筆している。主な執筆分野は法律、医療、経済、人事、子育て・生活。
 
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