フリーランスになるために必要な準備・手続きは?注意点や覚悟も解説

ヨシモト

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2021.01.27
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会社に所属せず、自分の力で仕事を獲得して稼ぐのが「フリーランス」ですが、どうすれば開業できるのか、そして、どうすれば稼げるのか、ご存じでしょうか?

これを知らないと思うように仕事が取れず、生き残れません。場合によっては、税務署から怒られることも・・。

そこで本記事ではフリーランス歴8年の筆者が、開業に必要な準備と手続きはもちろんのこと、日々の注意点や独り立ちするために必要な「覚悟」について紹介します。


▼ 目次
1. フリーランスとは?
1-1. フリーランスが向いている人・向いていない人
1-2. フリーランスとして働いている人が多い職種は?
1-3. フリーランスと会社員、それぞれの違いは?
2. フリーランスになる方法・手順
2-1. 今の会社関連の必要事項を清算して必要ツールを集める
2-2. 開業届を出して業務開始
3. フリーランスになった後にやらなくてはいけないこと
3-1. 健康保険に加入する
3-2. 帳簿をつける・レシート等の経費を残す
3-3. 確定申告をする・税金を払う
4. フリーランスはどうやって仕事を獲得するの?
4-1. クラウドソーシングやマッチングサイトを使う
4-2. 集客用のサイトやSNSを持つ
5. フリーランスで働く上で気をつけるべきこと・覚悟すべきことは?
5-1. 収入は安定せず、家族との時間・自由時間は減る
5-2. 取引先企業と大きなトラブルに発展することもある
6. まとめ


 

フリーランスとは?

そもそも、フリーランスとはどのような働き方なのでしょうか?

フリーランスとは、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」を指します。

最近は、会社などに所属せず、仕事に応じてさまざまな企業と自由に契約する働き方のことをフリーランスと呼ぶことも増えました。こういった働き方は自分自身で仕事を見つけたり、自分のスキルを売り出したりする必要があります。

そのため、向いている人・向いていない人が大きく分かれる働き方と言えるでしょう。
 

フリーランスが向いている人・向いていない人

フリーランスは、自分から動かないと仕事も契約もできません。
そのため、自分で戦略を考えて動けるなどの主体性が必須です。

1人で仕事をすることは「自由」という大きなメリットがありますが、すべての行動に責任が伴います。

だからこそ、1人でがむしゃらに働くのではなく、さまざまな人たちの手を借り、意見を聞きながらでも責任を全うできる方に向いている働き方です。

なお、フリーランスは自分が獲得した仕事によって収入も大きく左右されるため、安定した収入を望んでいる方には向いていないかもしれません。
 

フリーランスとして働いている人が多い職種は?

フリーランスとして働くためには、何らかのスキルが必要な場合が多いため、職種としてはエンジニア、デザイナー、ライター、カメラマンなどが挙げられます。

資格を持っている場合は、企業も安心して仕事の依頼をするため、実績を残していきやすいです。

フリーランスになったあとにスキルを身につけようとするのは、すでに「スキルを持ったフリーランス」に埋もれて仕事が獲得できないため、おすすめできません。

フリーランスとして独立した時点で何らかのスキルがあり、すぐに仕事がもらえるという状況を事前に作り上げておく覚悟が必要です。

もしも企業勤めからフリーランスになりたいと考えているなら、まずは資格を取得したり、持っているスキルをさらに磨いたりするなどして、自分が自信を持てる才覚を身に着けることを優先しておくと、後が楽になりますよ。

ちなみに筆者の場合は、恥ずかしながら、スキルがない状況で場当たり的に独立してしまいました。

大した覚悟を持っておらず、「スキルがなくても仕事をもらいながら、相応の能力をつけていけば良いだろう」という甘い考えを持っていたのです。

しかし、世の中にはスキルを持つフリーランスが既に多数おり、そのうえ仕事の数は限られています。

スキル持ちのフリーランスに既存の仕事を全て持っていかれ、スキルをつけなければ生き残れないことに独立した後に気づいたのです。

スキルを身に付けるべく貯金を切り崩しながら勉強し、1年経って他のフリーランスと同じ立場に立ち、やっとの思いで今は人並みに食えている状況です。

これを読んでいるあなたには、このような辛い状況になって欲しく無いので、まずは独立前にしっかりとしたスキルをつけていただくことをオススメします。
 

 

フリーランスと会社員、それぞれの違いは?

フリーランスと会社員では、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
大きく分けると、以下の4つの違いがあります。

収入が安定しているかどうか

自分で税金の管理を行う必要があるか

時間や仕事内容などが自由に選べるか

社会的な信用が得られるか

 

こちらの4つの違いについて、それぞれ詳しく解説していきます。
 

1. 収入が安定しているかどうか

会社員の場合は毎月の給与がおおよそ決まっているため、特別な事情がない限りは安定した収入を得ることができます。

一方、フリーランスは自分の仕事量や仕事内容が収入に直結するため、月によってもかなり変動する場合が多いです。

 

2. 自分で税金の管理を行う必要があるか

会社員の場合は企業側で税金の調整を行ったり、必要な税金は給与から天引きされていたりと、自分自身で税金の管理をする必要はほとんどありませんでした。

しかし、フリーランスの場合は自分自身で収入を管理し、確定申告等も行わなければなりません。(経理や確定申告について、詳しくは後述します)
 

3. 時間や仕事内容が自由に選べるか

フリーランスは会社や企業に属していないため、勤務時間や勤務場所、業務内容まで自由に選んで働くことができます。

一方、会社員は勤務時間がきちんと定められており、勤務場所を自由に選べることはほぼありません。

昨今ではテレワークが推奨されており、昔よりも自宅で働ける状況が増えてきました。

しかし、すべての会社がそうではなく、テレワークが推奨されている会社も限られています。特に中小企業等は顕著な例で、勤務時間や勤務場所を選べないケースの方が未だ多いでしょう。

さらに会社員は業務内容も割り振られているため、場合によっては自分の希望する仕事ができないこともあります。

自身のライフスタイルに合わせ、自分がやりたい仕事ができるのが、フリーランスの魅力的なポイントといえます。
 

4. 社会的な信用が得られるか

会社員の場合、今後も安定した収入を得られることが見込めるため、ローンやクレジットカードの契約等は比較的通りやすいです。

しかしフリーランスは収入が不安定なので、社会的な信用が得にくく、ローン契約ができない可能性もあることを覚えておきましょう。
 
 

フリーランスになる方法・手順

実際にフリーランスになるためには、何をする必要があるのでしょうか。その方法を詳しく説明します。
 

今の会社関連の必要事項を清算して必要ツールを集める

副業ではなく完全にフリーランスとして働く場合、まずは現在勤めている会社を退職する必要があります。然るべき時期に退職の申し出を行い、引き継ぎ等の業務もきちんと清算して退職しましょう。

その後はフリーランスとして働くにあたって、必要となるツールを揃えます。

請求書作成用のツールや、確定申告用のソフトやカードリーダー、スケジュール管理用のアプリやシステム手帳は必須のツールです。必ず用意するようにしましょう。

もちろん、それぞれの職種に必要なものがあるかと思いますので、フリーランスになった後すぐに業務ができるよう、きちんと準備をしてください。

ちなみに筆者の場合は、ライター業という都合上、毎日のようにタイピングをするので感度の良いキーボードを持つノートパソコンや、外でも仕事できるためのポケットWi-Fiなど、仕事になくてはならないツールが多数あります。
 

開業届を出して業務開始

フリーランスは「開業届」に必要事項を記入し、税務署へ提出を行ったら、業務が開始できます。
この届け出は開業から1ヶ月以内に提出する義務があるので、忘れないようにしましょう。
 
 

フリーランスになった後にやらなくてはいけないこと

フリーランスへの第一歩を踏み出した後、やらなければならないことは主に下記の3つです。

健康保険に加入する

丁簿をつける・レシート等の経費を残す

確定申告をする・税金を払う

 

こちらについて、詳しく解説していきます。
 

健康保険に加入する

会社員時代は社会保険に入っていたと思いますが、フリーランスになった場合は国民健康保険に加入する必要があります。

国民健康保険加入手続きは自分で行わなくてはならないうえ、保険料を自分で支払う必要があります。

国民健康保険になると、家族の分も自分で支払わなければなりません。ひと家族分の保険として、毎月請求されることになります。

結婚したり子供が増えたりすると毎月の支払い金額が増えるため、去年よりも今年の支払い金額の方が高いというケースが非常に多いです。

このように、会社員時代と何から何まで違うので最初は戸惑うかもしれませんが、役所の方が丁寧に社会保険との違いを紹介してくれます。

もし何か疑問点があるなら、役所の健康保険担当の方に詳しく聞いてみると良いでしょう。
 

帳簿をつける・レシート等の経費を残す

会社には経理担当者がいますが、フリーランスとなると自分自身で帳簿をつける必要があります。確定申告時にも必要になるので、忘れずに記載するようにしましょう。

現金の出入りを記録する「現金出納帳」、銀行振込を多く利用する場合は「預金出納帳」も作っておくと便利ですよ。

帳簿は手書きでもデジタルでも、自分が分かりやすければOKですが、個人的にはデジタルで帳簿をつけることをオススメします。

今はクラウド会計と言って、レシートをスマホのカメラで撮影すれば自動的に情報がつけられるサービスがあります。代表的なものは「freee」でしょうか。

クラウド会計ソフトは、e-Taxによる確定申告が簡単にできる仕組みもあるため、確定申告における作業内容を一気に削減することができ、個人的にはかなりオススメです。

なお、経費として使用したレシートや領収書は、税務調査対策のために必ず取っておくようにしましょう。
 

確定申告をする・税金を払う

確定申告は、年度末の2~3月頃の定められた期限内に行う必要があります。帳簿やレシートを見ながら、「freee」などの専用ソフトを利用して申告をしましょう。

ちなみに、令和2年分の確定申告から青色申告特別控除額が65万円から55万円になりましたが、e-Taxによる電子申告だと、引き続き65万円の控除が受けられます。より多くの控除を受けたいなら、e-Taxをおすすめします。

また、フリーランスの場合は「個人事業税」といって個人事業主に課せられる税金や、その他所得税・住民税等の支払いもあるので、忘れないようにしましょう。
 
 

フリーランスはどうやって仕事を獲得するの?

いざフリーランスとなり、自分で仕事を獲得するといっても、最初はどうしたらいいか全くわからないかもしれません。

主な仕事の獲得方法は、企業とマッチングする「クラウドソーシングやマッチングサイトを利用する」、あるいは「集客用のサイトやSNSを持つ」の2つが挙げられます。

これらの方法について、詳しく説明します。
 

クラウドソーシングやマッチングサイトを使う

クラウドソーシングやマッチングサイトとは、仕事を受注したい「フリーランス(個人事業主)」と仕事を発注したい「企業」をマッチングするサービスです。

こういったサービスはさまざまあり、案件が多いサービス、特定の業種に強いサービスなどがあるので、自分に合ったものを見つけてみてください。

なお、筆者のようなライター業を目指すのであれば、クラウドワークスランサーズなどのクラウドソーシングサービスを使うのをオススメします。

毎日案件に応募しつつ、提案文を磨けば少しずつ案件が取れます。「受注実績数」が10以上になるまで相場より極端に単価を下げるのも効果的です。

1つの案件が取れれば実績がつき、次の案件へ続いていくので、最初は結果が出なくてもあきらめないでください。そうすれば、何とか食える金額まで達することができますよ。
 

集客用のサイトやSNSを持つ

サイトを作成したり、SNSで発信したりするのも効果的な方法です。もちろん、先ほどのサービスと併用して行うのも良いでしょう。

サイトやSNSを作成することで自分の仕事に興味がある方が集まりますし、名前を売ることができるのもメリットです。
 
 

フリーランスで働く上で気をつけるべきこと・覚悟すべきことは?

会社で働く場合はある程度の保障がありますが、フリーランスとなると多くのことが自己責任となります。うまくこなしていくためには、相当な覚悟が必要です。

ここではフリーランスとして働くうえで気を付けることや、独り立ちして生きていく上で覚悟すべきことをいくつか紹介します。
 

収入は安定せず、家族との時間・自由時間は減る

フリーランスとして駆け出しのときは、家族との時間を削って働いたり、自由時間がなくなったりします。「稼ぎ」と「時間」を両立するには「2つともやりきる」という強い覚悟が必要です。

覚悟があれば、目的実行への意識が強く働くため、「家庭時間を維持したまま、仕事を獲得する解決策」が見えてきます。

なお、筆者の場合は、1日数時間は家族との時間とし、残された時間を仕事に費やすと決めています。どんなことがあってもプライベートの時間を仕事に割く事はしません。

仕事時間でやるべきタスクが終わらないのであれば「どうすれば早く終わるのか」と、常に頭を働かせて日々の仕事に望んでいます。
 

取引先企業と大きなトラブルに発展することもある

フリーランスは、報酬未払いなどのトラブルに巻き込まれることもあります。

かくいう筆者も企業の報酬の未払いに悩まされた1人です。200万円分の仕事をしたのに、「報酬を支払うことができない」と言われた時は、怒りとともに絶望しました。

最終的には弁護士同士の話になり、報酬を得ることができましたが、多大なる精神的・時間的なリソースを失ってしまったのは間違いありません。

「きちんと企業選びをしっかりとしておけばよかった」といまだに後悔しています。

だからこそ、取引先企業の選定が重要です。納期や報酬支払いのタイミング・修正の頻度を明確にしない企業は取引先として除外することが大事です。

企業と偽る個人はトラブルを呼ぶので、事前に実在する企業かどうかを国税庁の法人検索サービス「法人番号公表サイト」で調べておきましょう。会社名を検索して出てこないなら、架空の会社です。

なお、昨今ではGMOが提供している「フリーナンス」など、フリーランス向けの損害賠償保険等もあるので、リスクヘッジとして利用するのも良いでしょう。
 
 

まとめ

今回はフリーランスになるための具体的な方法を解説しました。

フリーランスとして独り立ちするなら、開業手続きをし、仕事を獲得していかなければなりません。そして、クレーマーに裁判をされたり、家族との時間が減ったりするリスクを覚悟する必要があります。

このようにフリーランスになれば何もかもがうまくいく、楽になる、というわけではありません。

しかし、やりがいや一国一城の主になる、などの感覚は他には味わえないものです。それらを経験したいと思うのであれば、フリーランスという「大海」に飛び出してみてはどうでしょうか。

今回の記事を参考にすれば、大海原をうまく泳いでいけるはずです。

 

ヨシモト
この記事を書いた人

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フリーのWEBライター。大手出版会社から独立して8年。主な執筆分野は個人事業主・フリーランス向け記事、IT分野、ガジェットなど。