退職前後に必ずやろう!フリーランスになるための手続き

服部大

服部大

2020.12.07
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「フリーランスになるぞ! 」

夢と希望に満ち溢れた人生の大勝負に出るとき、十分な準備をせずに飛び出してしまっては、出だしからつまずいてしまいかねません。

裏を返せば、退職前から計画的に準備を重ねた人ほど良いスタートが切れ、そのまま軌道に乗っていく可能性が高くなります。

フリーランスにとってはお金にまつわる不安は特に大きく、融資や補助金制度は知識の有無で明暗が分かれる部分なので必ず抑えておきましょう。

本記事ではフリーランスになるために、退職前後でやっておくべきことについて解説いたします。


▼ 目次
1. 税金や社会保険のコト
2. お金(開業資金)のコト
2-1. 事業用口座の開設
2-2. クレジットカードの作成
2-3. 開業資金の準備
2-4. 新創業融資制度
2-5. 小規模事業者持続化補助金
3. 営業準備のコト
3-1. まずは集客のルートをイメージしよう
3-2. 職場環境の整備
3-3. ホームページの制作
3-4. 名刺や封筒などの備品
3-5. 書式ひな形(見積書や請求書、契約書)の準備
3-6. 会計システムの選定
4. その他フリーランスとして知っておくべき心得
4-1. 健康管理は大事な仕事
4-2. 会社員に比べ、社会的信用は落ちる
4-3. フリーランスには退職金がない
5. まとめ


 

税金や社会保険のコト

まずは税金や社会保険に関する手続きを確認しましょう。

これまでは勤務先の給与から所得税や社会保険料が天引きされ、最終的には年末調整まで行われることによって、“会社任せ”にしていた部分もあるかもしれませんが、フリーランスとなるからには手続きもすべて自分で行わなければなりません。

具体的に必要な手続きは以下の3点です。

開業届の提出

青色申告承認申請書の提出

健康保険の切替え

まずは税金関係の手続きとしては「開業届」と「青色申告」が代表的なものとなります。

これらは開業前だけでなく開業後の提出も可能ですが、青色申告を行うための承認申請書に関しては、開業日から2ヶ月以内に提出しなければ開業年での青色申告ができなくなってしまいますので、提出期限にはくれぐれもご注意ください。

これらの税務上の提出書類については別記事で詳しく解説しておりますので、ぜひこちらをご参照ください。

 

また会社で加入していた健康保険についても、「国民健康保険へ切替える場合」や「任意継続とする場合」など、いくつかの方法から選択することとなります。

フリーランスとなる場合の健康保険に関しても別記事で解説しておりますので、以下のリンクをご参照ください。

 
 

お金(開業資金)のコト

勤務先を退職してフリーランスにあたって最も心配なことは、やはりお金に関することではないでしょうか?

特に開業資金などについては、退職前にしっかりと考えておかないと取り返しのつかない事態になりかねません。

借入をするつもりが、十分な融資を受けられなかった

設備投資や広告費用の見積もりが甘く、出費が大幅にかさんでしまった

売上が思うように稼げず、借入返済や生活費の負担が苦しい

このようにせっかく希望を持って独立開業に至っても、金銭的な問題から開業後数年も経たないうちに廃業を余儀なくされてしまい、「結局借金だけが残ってしまった」という事例も少なくないのです。

このような事態に陥らないように、ここではフリーランスのお金にまつわる内容を順番に確認していきます。
 

事業用口座の開設

事業用口座の開設は必須ではありませんが、プライベートの通帳と分けた方が管理しやすいため、ぜひ事業用の口座を準備するようにしましょう。

ちなみに屋号入りの通帳を作ることもできますが、多くの金融機関では「開業届」の控えが必要になりますので、先に開業届を提出しておくとスムーズな手続きが可能となります。
 

クレジットカードの作成

口座と同様に、クレジットカードについても事業専用のカードを用意しておくと管理が楽になります。

しかし、脱サラしてフリーランスとなったばかりの状態は特に社会的信用が低下しているため、クレジットカードを作成しにくい場合があります。

したがって事業用のクレジットカードは、退職前にあらかじめ作成しておくことをお勧めします。
 

開業資金の準備

一般的に勤務先を退職してフリーランスとなる際には、業務に必要なものを買い揃え、軌道に乗るまでの生活費に充てる資金を準備することとなります。

しかし「開業資金って具体的にいくら用意すべきなの? 」とピンと来ない方も多いのではないでしょうか?

事業内容や売上見込み、初期費用の大小はケースバイケースであるため、ズバリの金額をお伝えすることはできませんが、準備すべき資金の基礎となる考え方は「売上がゼロでも3ヵ月~半年程度は生活できる金額」とすると良いでしょう。

つまりフリーランスとなった後、一定期間無収入の状態が続いても家賃や光熱費、ローン返済などの生活費の支払が滞らないようにしておきます。

もちろん、スタートから収入のあてがある場合には、開業資金も少なくて済みますが、そのような個別の事情も考慮し、開業から半年程度の資金計画を立ててみることをお勧めします。

なお開業資金はすべて自己資金で賄わないといけないという訳ではありません。

フリーランスでも以下のような支援制度を活用することによって、開業資金の負担を軽減できます。
 

新創業融資制度

自己資金や親族からの借入以外による資金調達の代表的な方法としては、「融資」が挙げられます。

開業直後は社会的な信用力が低下していますが、日本政策金融公庫の“新創業融資制度”を活用すれば、開業直後の実績のない事業者でも無担保・無保証で最大3,000万円(運転資金の場合は1,500万円)を借りることが可能です。

なお、新創業融資制度については開業後2期以内であることや、創業計画書を用意すること、自己資金を1/10以上用意できること(※審査の上では1/3くらいの自己資金は用意しておくことが好ましいです。)などの要件を満たす必要があります。
 

小規模事業者持続化補助金

融資と違い、返済する必要のないものとして「補助金」があります。

補助金制度は実際に支払った費用の一部を補てんしてもらうものであり、補助金をもらえれば自己負担額を減らすことが可能となります。

補助金制度のうち、フリーランスでも使いやすいものとしては“小規模事業者持続化補助金(以下:持続化補助金)”が挙げられます。

持続化補助金では販路拡大のための営業や広告費用についても補助金の対象となっており、ホームページの制作費用やネット販売システムの構築、店舗の改装などの費用のうち2/3(補助金の上限は50万円まで)が補助されます。

持続化補助金は要件さえ満たせば必ずお金がもらえるというものではなく、申請書類も多いことから誰でも簡単に受けられる制度とは言えませんが、無事申請が通れば事業に関する初期費用を軽減することが可能となります。
 
 

営業準備のコト

フリーランスとして開業するのであれば、「お金を準備すること」と同様に「お金を稼ぐこと」も重要となります。

以下に掲げるポイントはいずれも一般的に必要となる項目となりますので、退職前後でしっかりと準備を行うようにしましょう。
 

まずは集客のルートをイメージしよう

すでに売り先のあてがある場合を除き、新たに顧客開拓をしていくのであれば、どのようなルートで集客を行うのかイメージする必要があります。

集客ルートを定めることによって、どこに力を注ぎ、お金を掛けるべきなのかがより明確になるためです。

例えばネット集客を行わないのであれば、大金を掛けて立派なホームページを作るよりも、人脈づくりなどの想定する集客ルートにお金を回した方が良いでしょう。
 

職場環境の整備

フリーランスとして働く環境を整備することも重要です。

これはどこかにオフィスを借りる場合に限った話ではなく、自宅で開業する場合にも仕事場としての環境を整備しないと業務に支障をきたしかねません。

パソコンや専用ソフト、デスク回りの備品をはじめ、仕事場とプライベート空間を切り分ける工夫も必要となるかもしれません。

また近年では、自宅開業の場合にもバーチャルオフィスというサービスを活用し、住所や電話番号を賃借できるだけでなく、打合せ時には応接スペースを借りることもできます。

自由の歩き方を運営している株式会社ワンストップビジネスセンターもバーチャルオフィスを運営しておりますので、ぜひ参考ください。

 

開業後に滞りなく業務を進められる環境かどうか、ぜひ勤務先を退職する前にシミュレーションしてみましょう。
 

ホームページの制作

ホームページはすべての業種に必要なものという訳ではありませんし、先ほどお伝えした通り、“どの程度お金を掛けるべきか”については営業方法によって異なります。

業者へ発注する場合の料金相場としては、10万円台~数百万円というように非常に幅が広いため、ご自身の予算やご希望の条件を踏まえて判断するようにしてください。
 

名刺や封筒などの備品

フリーランスとして仕事をしていく上では、名刺や封筒などの消耗品の準備も必要となります。

また名刺などの制作に際しては、「ロゴマークやホームページのURLも載せたい」といったニーズをお持ちの場合もあるでしょうから、どの順番で用意をすればスムーズに準備できるのか、あらかじめ順序立てて検討しておくと良いでしょう。
 

書式ひな形(見積書や請求書、契約書)の準備

勤務先を退職し、フリーランスとして開業するにあたっては、お金や集客のことばかりが心配になり、いざ仕事の依頼があると「契約書、見積書のひな形を準備してなかった! 」と慌てて用意することも少なくありません。

業務を受注できるかどうかの不安がある中で、受注後のことまで気が回らないこともあるかもしれませんが、実際に受注した後もスムーズに業務を進められるように備えておきましょう。
 

会計システムの選定

フリーランスとして開業する場合には、確定申告を行うために日々帳面をつける必要がありますが、近年ではマネーフォワードやfreeeのようなクラウドサービスを利用するケースが増えつつあります。

ちなみに上記のクラウドサービスでは、契約することで請求システムも併せて利用できるようになるため、先ほどの見積書や請求書などのひな形の準備についてもまとめて解決できます。
 
 

その他フリーランスとして知っておくべき心得

これまで解説した内容以外にも、会社員からフリーランスへと転身することによって身の回りに大きな変化が生じます。

フリーランスになる上での心得として、ぜひ抑えておきましょう。
 

健康管理は大事な仕事

フリーランスは、自分自身の怪我や病気が自身の収入に直結します。

万が一働けない状態となっても上司や同僚がフォローしてくれる会社員時代とは違い、フリーランスとなれば誰もフォローできないため、働くことのできない期間は収入が途絶えることとなってしまいかねません。

開業後はついつい休日返上で無理をしてしまいがちですが、今まで以上に健康な状態を維持することが大切になるため、心身を休めることもひとつの仕事だと考えましょう。

病気やケガ、子育て、老後の生活については国民健康保険や年金制度によって一部カバーされていますが、それでも心もとない場合には、以下のような民間の保険を活用することもご検討ください。

民間の保険を紹介

1. 就業不能保険、所得補償保険・・・病気やケガで働けなくなった期間の収入を補てん
2. がん保険・・・がんと診断されたことによる「診断一時金」を受け取れるプランも
3. 損害賠償保険・・・万が一仕事で損害賠償を負ったときのお守りに

 

会社員に比べ、社会的信用は落ちる

これまでの内容でも何度か触れてきましたが、日本では“サラリーマン=安定”という認識がまだまだ根強く、多くの場合、会社員からフリーランスとなることによって社会的な信用力が落ちることとなります。

したがって住宅ローンや不動産の賃貸借契約、クレジットカード作成などを行う場合には、社会的な信用力が高い“退職前”に行っておくと良いでしょう
 

フリーランスには退職金がない

フリーランスについては自分自身に給与や退職金を支払うことはできません。(そもそも退職という概念がないですよね。)

したがって年齢を重ね、事業を畳んだ後の老後の生活資金は自分で用意しておかなければなりません。

フリーランスの場合には“小規模企業共済制度”や“iDeCo”といった積立のような制度を、毎年の節税を行いつつ、廃業時にはまとまった解約金を受け取ることで「退職金代わり」として活用することも多いのが実情です。
 
 

まとめ

今回はフリーランスとして開業する際に、勤務先を退職する前後でやっておくべき準備について解説しました。

退職前に開業準備を進めるのは簡単なことではありませんが、勢いに任せるのではなく、しっかりと計画を立てて実行に移していくことが成功への近道となるはずです。

ぜひご参考にして頂ければ幸いです。

服部大
この記事を書いた人

服部大

2020年2月、30歳のときに愛知県名古屋市内にて税理士事務所を開業。
 

平均年齢が60歳を超える税理士業界内で数少ない若手税理士として、同年代の経営者やフリーランス、副業に取り組む方々にとっての良き相談相手となれるよう日々奮闘している。
 

顧問業務だけでなくスポットでの税務相談や執筆活動も行っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えることができる専門家を志している。
 
> 服部大税理士事務所

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