フリーランスが仕事をするときの契約形態とは?種類と流れ、注意点を解説!

にしみねひろこ

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2020.11.27
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フリーランスとして「契約書」にサインするのは、少し怖くありませんか?

会社に勤めていたときは、契約関連の書類はすべて会社が用意してくれていたと思いますが、フリーランスはすべて自分でチェックして手続きを進める必要があります。内容をよく読まずにサインすると「聞いていたのと違う仕事だった」「手数料がとられている」といった事態になりかねません。

ではそもそもフリーランスはどういう契約形態で、何に注意すればいいのでしょうか?本記事では契約の基本的な部分をご紹介します。


▼ 目次
1. フリーランスの契約の種類と義務・責任
1-1. 主流は「業務委託契約」
1-2. 委任契約とは
1-3. 請負契約とは
1-4. 問われる義務と責任
2. 契約上の注意点
2-1. 労働関連の法律が適用されない
2-2. 契約内容、ここに注意!
3. 業務委託契約の流れ
3-1. 契約書の主な内容
3-2. 契約の流れ
3-3. 契約書は必ず作成しよう
3-4. 下請法にも注意
4. まとめ


 

フリーランスの契約の種類と義務・責任

会社などに所属せず、自由に働くフリーランスが仕事をする際は、クライアントである企業や個人と契約を結びます。まずは契約の種類などをご説明します。
 

契約の主流は「業務委託契約」

フリーランスの契約形態で、一般的によく使われるのが「業務委託契約」です。

業務委託契約とは、会社の業務の一部をアウトソーシングする契約のことです。具体的には次の2種類があります。
・請負契約
・委任契約(準委任契約)

業務委託契約は雇用契約ではないため、発注者に指揮・命令権はなく、仕事の進め方は基本的に受注者の自由です。両者は立場上、対等です。
 

委任契約(準委任契約)とは

委任(準委任)契約とは、依頼された仕事内容の「遂行」が求められる契約のことです(民法第643656条)。

あくまで約束通りに仕事をやり遂げることが目的であって、仕事の完成や成果物は必ずしも求められません。コンサルティングやビルの警備などがこれに当たります。

弁護士がする裁判など、法律行為の場合は「委任契約」、それ以外は「準委任契約」です。一般的にフリーランスがする仕事は準委任契約ですが、あまり区別せずにひとまとめに「委任契約」と呼ばれることも少なくありません。

クライアントも特定の分野のプロなど相手を選んで依頼しているため、仕事の再委託は原則としてできません。
 

請負契約とは

請負契約とは、依頼された仕事の「完成」が求められる契約のことです(民法第632条)。

委任契約と違って成果物が求められることも少なくありません。商品デザインやプログラミング、書籍の原稿、建物の建築などでよく利用されます。

特に指定がなければ仕事が完成しさえすればいいので、誰がどんな方法で作業したのかは問われず、再委託も可能です。
 

問われる義務と責任

委任契約でも請負契約でも、きちんと仕事をしなければ契約解除や損害賠償に発展する可能性があります。

委任契約の場合、発注者は受注者に一定のクオリティを期待して仕事を依頼しています。そのため受注者にはその職種などに応じて、一般的に期待されるようなレベルの仕事をする義務があります。これを「善管注意義務」といいます。

委任契約の違反になる事例って?

たとえばプロの掃除業者が部屋の一部しか掃除せず、ほこりだらけの状態で仕事を終えた場合、善管注意義務に違反しているとして契約解除や賠償の対象になる可能性があります。

一方で請負契約の場合、受注者には「仕事の完成義務」があります。そのため受注者の都合で仕事が終わらなかった場合は、報酬は原則として受け取れません。

また納品物に欠陥があった場合は「契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)」を問われます。

請負契約の違反になる事例って?

たとえばテーラーが注文とは異なるデザインの服を納品した場合です。納品物の補修や代金の減額、契約解除、損害賠償といった事態になる可能性があります。

 

契約上の注意点

業務委託契約を結ぶ際には、気を付けておかなければいけないことがあります。契約をしてしまう前に、確認しておきましょう。
 

労働関連の法律が適用されない

業務委託契約は文字通り「委託」であって「雇用」ではありません。つまり一般的な会社員などと違って「労働者」ではないため、労働基準法や労働契約法などの法律は適用されません

労働基準法などの法律は、労働者の権利を守るためにさまざまな規定を設けています。これらの対象外ということは、たとえば1日20時間働いても残業代は発生しませんし、失業保険や労災保険もありません。

そのため民間の保険に加入したり、自分で業務量をコントロールしたりしなければいけません。

働けなくなったときのための所得補償保険、退職後の生活のための小規模企業共済、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)など、費用や目的に合わせて選びましょう。
 

契約内容、ここに注意!

業務委託契約を結ぶ際には、その内容をしっかりと確認しておかなければ、あとで「こんなはずじゃなかった」となりかねません。

具体的には次のような点に注意してください。
 

聞いていた内容と契約内容に違いはないか

契約内容が、事前に打ち合わせしていた仕事内容と違うことがあります。口約束だけで安心せず、契約書にはしっかりと目を通しましょう。
 

請負契約か委任(準委任)契約か

請負契約と聞いていたのに、契約書の内容が準委任契約になっていることがあります。契約書の題名に関係なく、契約内容によって請負か準委任かは決まりますので、契約書の中身をよく読みましょう。
 

責任の所在は明確になっているか

著作権は誰に帰属するのか、トラブルに発展した場合はどのように解決するのかなど、権利や責任に関することは必ず確認しておきましょう。受注者側が著しく不利な契約になっている場合には、改善を求めましょう。
 

自分の能力を超えた契約はしない

やったことのない業務や忙しいのに超短納期の仕事を「できます!」と請け負った仕事は、期日までに納品できなかったり、思うような結果がでなかったりすることがあります。

クライアントからの信用を失うだけでなく、契約内容によっては報酬を支払ってもらえず、努力が無駄になってしまいますので、無理な契約はしないようにしましょう。
 

金銭関係は明確にしておく

契約の前に、お金の関係はできるだけ明確にしておきましょう。たとえば報酬は消費税を含むのか、振込手数料はどちらが持つのか、交通費は支給されるのかといった内容です。

お金の話はしづらいかもしれませんが、曖昧にすると後々トラブルになりかねません。
 

業務委託契約の流れ

実際に業務委託契約をする場合には、合意内容をもとに契約書を作成します。ここではその手順や注意事項をご説明します。
 

契約書の主な内容

一般的な業務委託の契約書には、次のような内容が含まれます。
 

委託業務内容

業務内容をできるだけ詳細に記載します。委任契約か請負契約かもわかるようにしておきます。
 

契約期間、納期

契約期間や更新の方法、納期について記載します。業務上必要な費用を誰が負担するかについて決めておくこともあります。
 

委託料・報酬、支払い方法

1件あたりの金額、時給、成果報酬などの報酬内容と、支払方法、支払期日を決めておきます。
 

再委託の可否

原則として請負契約は再委託可能ですが、委任契約では不可です。再委託の可否や条件などを記載します。
 

著作権や知的財産権の帰属

成果物の著作権や知的財産権は誰に帰属するのかを定めておきます。一般的には発注者側が所有するケースが多い傾向にあります。
 

損害賠償

契約に違反した場合、受注者が発注者に損害を与えた場合の賠償について記載します。
 

秘密保持義務

業務を進める上で得られた情報を第三者に漏えいしないことを約束します。
 

契約解除の条件

契約期間中の解除の条件や違約金について記載します。

このほか、契約内容によって契約不適合責任や善管注意義務などについても記載されます。
 

契約の流れ

契約手続きは次のような流れで進めましょう。
 

(1)契約内容を決める

自ら提案する案件の場合には、仕事の内容や納期、報酬などについて提示し、受注を目指します。正式な契約内容はクライアント交渉して詰めましょう。先方から依頼がきた場合にも、希望条件にそぐわない場合は条件を提示して交渉しましょう。
 

(2)契約書を作成

条件に合意できたら、契約書を作成します。クライアントが作成してくれる場合には、事前に話し合った内容通りになっているか、自分に不利な条件になっていないかよく確認しましょう。

厚生労働省が作成した「自営型テレワーカーのためのハンドブック」(p23)に、契約書の見本が掲載されていますので、ぜひ参考にしてください。
 

(3)契約締結

契約書の内容に問題がなければ、契約します。契約書は同じものを2通作成し、署名・押印してお互いに1通ずつ受け取ります。トラブル防止のため、必ず保管しておきましょう。
 

契約書は必ず作成しよう

業務委託契約は口約束でも成立するため、必ず書面にしなければいけないわけではありません。

ただしメールなどで仕事の内容や報酬、納期を決め、契約書を取り交わさずに仕事を進めてしまうと、「事前に決めた以上の仕事を求められた」「報酬が支払われない」「契約違反として賠償を求められた」など、トラブルになりやすい傾向があります。

「言った・言わない」を防ぎ、合意内容を示す証拠になりますので、面倒かもしれませんが、自分の身を守るためにも必ず契約書は作成しておきましょう。
 

下請法にも注意

下請代金支払遅延等防止法(下請法)は、規模の大きい企業がその有利な立場を利用して、規模の小さい企業や個人事業主に不当な要求をしないようにする法律です。

下請法の対象となる取引は「製造委託」「修理委託」「情報成果物作成委託」「役務提供委託」の4つです。IT関連の業務が対象になるケースが多いといえます。

対象となる取引では、不当に報酬を減らしたり、発注内容を書面にして交付しなかったりすることを禁じています。

下請法違反にあたる可能性がある場合には、見直しを訴えたり相談窓口に連絡したりしましょう。相談は公正取引委員会の地域別の事務所や中小企業庁の「下請かけこみ寺」で受け付けています。
 

まとめ

業務委託はクライアントと対等な立場とはいえ、フリーランス・個人事業主は不利な条件を突きつけられることが珍しくありません。

気づかずにサインしてしまえば、あとでトラブルにもなりかねません。契約の際は事前にしっかりと打ち合わせをし、契約書の内容も一つ一つ確認して、できるだけ自分の身は自分で守りましょう。
 

にしみねひろこ
この記事を書いた人

にしみねひろこ

フリーライター。6年半の報道記者経験を活かして、インタビューや各種コラム、取材、企画・広告記事、プレスリリースなどを執筆している。主な執筆分野は法律、医療、経済、人事、子育て・生活。
 
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