請求書に発行者の住所記載は必要?

服部大

服部大

2020.11.26
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フリーランスとして活動する中で、避けては通れないものとして“請求書の発行”があります。

しかし単身女性や所帯持ちの方がご自宅でフリーランスとして開業する場合など、住所を記載することに抵抗がある場合も多いことでしょう。

実は法律上、請求書への住所の記載は必須でないため省略可能であり、近年ではバーチャルオフィスなどの活用によって“住所を借りる”方法も浸透しつつあります。

本記事では請求書発行のうち、「住所」の取扱いにスポットライトを当てて解説いたします。

なお請求書発行の際に一般的に記載すべき項目については、別記事の【フリーランスの請求書】正しい発行方法とタイミングでもご紹介しておりますので併せてご参考いただければ幸いです。


▼ 目次
1. 請求書の発行者はどこまで自分の情報を記載すべき?
2. 住所を記載することの効果
3. 住所を伏せることで想定されるトラブル
4. 請求書に“開業届と異なる住所”を記載することは可能?
5. 自宅開業の方には『バーチャルオフィス』という選択肢も
6. まとめ


 

請求書の発行者はどこまで自分の情報を記載すべき?

請求書を作成する際には、相手先名や請求内容、金額とともに、発行者自らの情報を記載することになります。

しかし自宅兼事務所として事業を行う場合、請求書に自宅住所を記載すると「万が一トラブルに巻き込まれた際に、自宅に押し掛けて来られるのではないか」と不安に感じる方も少なくないはずです。

請求書としては、“誰から誰に対し、何の代金をいくら支払うのか”といった情報が特定できれば十分な効力を持つため、発行者として住所を記載する法的な義務はありません。

中には住所も電話番号も記載せず、屋号のみが書かれた請求書も存在しますが、このように屋号のみの請求書であっても、その効力には問題がないのです。

ただし請求書の内容について相手方からお問い合わせをいただく可能性もあるため、電話番号やメールアドレスなどの最低限の連絡先を記載することがマナーと言えるでしょう
 

住所を記載することの効果

住所を記載することに法的な義務はなくとも、一般的な請求書には住所などの個人情報を記載するケースの方が圧倒的に多いことでしょう。

実務上、請求書へ住所を記載する最大の理由は「社会的信用」であると考えられます。

これと同じような考え方のものに“名刺”が挙げられます。

もしあなたが受け取った名刺に書かれている情報が“屋号のみ”であった場合、その相手の方と安心してお仕事を依頼できるでしょうか?

やはり業務を行う上では信頼関係の構築は欠かせないものであり、「この人はどんな人なのだろうか? 」という疑問を解消していく過程において、住所などの情報がひとつでも多く明らかにされていた方が安心感を得られやすいのではないかと思います。

請求書についても同様で、“支払を請求する”というお互いに神経質にならざるを得ない局面においては、住所などの情報を記載し、支払者である相手方に余計な不安を与えないことが一種のビジネスマナーのようになっていると考えられます。
 

住所を伏せることで想定されるトラブル

先ほどお伝えした通り、住所を伏せることで考えられる問題としては、相手に不信感を与えてしまう恐れがあることでしょう。

請求書は業務完了後に送付することが一般的であるため、請求書を発行する段階ではすでに業務を受注しているケースが多いのではないかと思います。

しかし着手金として業務前に代金を請求する場合や見積書を発行する場合など、受注前から一貫して相手方へ住所を伏せているような場合には、健全な関係性を構築する上で一定のデメリットが生ずることもあります。

実際にお会いしたことがある方とのお仕事なら住所を伏せていても信用性に影響が出ないこともあるのでしょうが、非対面型で互いに顔を合わせることなく完結する業務では、数少ない住所などの情報は「相手が信用できる人物かどうか」を推し量る上で重要なものとなる場合もあります

また請求書などの書類を郵送する場合には、“配達時のトラブルを避ける”という意味でも住所を記載する方がベターだと考えられます。

封筒にも差出人住所を書かなければ、配送中のトラブルが発生しても差出人に戻すことができず、郵便物が行方不明の状態になってしまいます。

切手の料金不足が発生した場合にも同様で、この場合には受取人に不足金額の請求がなされるため、差出人住所を記載しないことで相手方にご迷惑をお掛けすることになってしまう可能性があるのです。
 

請求書に“開業届と異なる住所”を記載することは可能?

「自宅住所は書きづらいので、別の住所を記載したい」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?

その場合に「開業届に記載したものとは違う住所を請求書に書いても問題ないの? 」と疑問に感じることもあるかもしれませんが、これ自体は全く問題ありません。

開業届はあくまで税務上の納税地を指定するためのものであるのに対し、請求書に記載する住所は納税地とは関係なく、実務上都合の良いものを記載すれば良いためです。

したがって開業届では自宅住所を納税地と記載している場合でも、請求書には他で契約しているオフィスなどの住所を記載することも可能であり、このような住所表記によって税務上の問題が生ずることはありません。
 

自宅開業の方には『バーチャルオフィス』という選択肢も

これまで解説した内容を踏まえると、「相手方に住所を伝えるメリット」と「自宅住所を公開するリスク」という2つの側面が、自宅開業しているようなフリーランスの方々にとって悩みの種となるのではないでしょうか?

とはいえ、わざわざ自宅とは別に要りもしないオフィスを借りるというのも本末転倒ですよね。

そのようなフリーランスを中心に浸透しつつあるのが、『バーチャルオフィス』というサービスです。

バーチャルオフィスではフリーランスや法人向けに住所や電話番号を提供し、必要に応じて郵便物の転送サービスや来客対応スペースを利用できるものなど、サービス内容も多岐に渡っています。

「どうしても自宅住所を載せることに抵抗がある…。」という方については、このようなバーチャルオフィスというサービスを利用し、住所をレンタルすることも選択肢の一つとなるのではないでしょうか?
 

自由の歩き方を運営している株式会社ワンストップビジネスセンターもバーチャルオフィスを運営しておりますので、ぜひ参考ください。

 

まとめ

今回は請求書のうち、住所の記載に焦点を当てて解説しました。

ちなみに筆者である私自身も自宅兼事務所として税理士事務所を開業しているため、今回のテーマは決して他人事ではありません。

私の場合は名刺や請求書には住所や連絡先を記載していますが、不特定多数の方が閲覧可能な事務所ホームページには住所も電話番号も載せないようにしています。(これは営業電話や郵便物を減らす目的もあります。)

私のケースはほんの一例ですが、ホームページや名刺、請求書などの媒体ごとに情報を発信する相手先も異なるため、媒体に応じて掲載する個人情報の量を変えることも有用ではないかと思います。

相手方に安心感を与える一方で、自分自身も安心して仕事に集中できる環境を作っていくことはとても重要です。

ぜひご参考いただければ幸いです。
 

服部大
この記事を書いた人

服部大

2020年2月、30歳のときに愛知県名古屋市内にて税理士事務所を開業。
 

平均年齢が60歳を超える税理士業界内で数少ない若手税理士として、同年代の経営者やフリーランス、副業に取り組む方々にとっての良き相談相手となれるよう日々奮闘している。
 

顧問業務だけでなくスポットでの税務相談や執筆活動も行っており、「わかりにくい税金の世界」をわかりやすく伝えることができる専門家を志している。
 
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