独立したらまず手続き! 個人事業主が加入できる健康保険と節税方法

にしみねひろこ

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2020.10.08
独立したらまず手続き! 個人事業主が加入できる健康保険と節税方法 イメージ

会社勤めを経て、はれて独立!「社会保険の手続きはゆっくりでいいや」なんて思っていませんか?

ところがどっこい、そうはいきません。
退職の翌日から「会社の健康保険」は使えなくなるんです。何もしなければ保険証がなくて、病院で慌ててしまうかも……。そこで加入する人が多いのが「国民健康保険(国保)」です。

国保は「高い」と言われますが、実は保険料を安くする手があります。それにそもそも、国保以外にも入れる健康保険があるんです。

そこで本記事では、個人事業主・フリーランスの健康保険についてご紹介します。


▼ 目次
1. 個人事業主は国保しか入れない?実は加入できる4つの健康保険
1-1. 国民健康保険
1-2. 会社の健康保険の任意継続
1-3. 家族の会社の健康保険の被扶養者
1-3. 国民健康保険組合
2. 国保は高いってホント?会社の健康保険との違いと計算方法
2-1. 国保は全額自己負担
2-2. 扶養がない、手当てが少ない
2-3. 所得控除の対象になるが、経費にはできない
2-4. 【計算しよう!】年収500万円の国保保険料
3. フリーランス必読!国保の保険料を安くする方法
3-1. 青色申告をする
3-2. 経費を活用する
3-3. 保険料の安い地域に引っ越す
4. まとめ


 
 

個人事業主は国保しか入れない?実は加入できる4つの健康保険

個人事業主は国保しか入れない?実は加入できる4つの健康保険

「個人事業主になったら国民健康保険」というイメージがあるかもしれませんが、「会社の健康保険の任意継続」「家族の健康保険の扶養」「国民健康保険組合」も選択できます。保険料や保障内容を考えれば家族の健保の扶養がおすすめですが、加入には条件があります。
 

国民健康保険

個人事業主・フリーランスで加入している人が多いのが「国民健康保険(国保)」です。国保は自治体が運営しており、個人事業主やその家族、無職の人などが入ります。

加入する場合は、退職の翌日から14日以内に市区町村で手続きをしなければいけません

保険料は前年の所得や住んでいる地域によって決まり、「納付書払い」「口座振替」「年金天引き」のいずれかの方法で支払います。納付書を使ってクレジット決済できる自治体もあります。

ほかの健康保険と違って基本的に加入条件がないため、最も入りやすいといえるでしょう。
 
 

会社の健康保険の任意継続

会社の健康保険(健保)に加入していた場合は「任意継続」が利用できます。

任意継続をすれば、退職後もそのまま会社の健保の被保険者でいられます。保険料の負担なく、家族を扶養に入れられる健保組合もあります。

ただし任意継続には次のような条件があります。
・会社の健康保険に継続して2ヶ月以上加入
・退職翌日から20日以内に継続申請
・加入期間は退職後2年間

また在職中に会社と折半していた保険料は、任意継続では全額自己負担です。そのため国保よりも保険料が高くなるケースもあります。
 
 

家族の会社の健康保険の被扶養者

家族と同居していて「年収が130万円未満、かつ家族(被保険者)の年収の2分の1未満」の場合には、家族の会社の健康保険の被扶養者になれます。

被扶養者は保険料がゼロなので、コスト面では一番いいでしょう。仕事が軌道に乗るまでは被扶養者、130万円以上稼げるめどがたったら国保という方法もあります。

ただし「開業届」を出している場合は被扶養者になれないなど、健康保険組合によって加入条件が違います。事前に家族から組合に確認してもらいましょう。
 
 

国民健康保険組合

国民健康保険と名前が似ていますが「国民健康保険組合」という選択肢もあります。

国民健康保険組合とは、特定の業界・職種の人が加入できる健康保険です。「文芸技術国民健康保険組合」「全国土木建築国民健康保険組合」「東京食品販売国民健康保険組合」など、計164組合あります。

国民健康保険組合の最大のメリットは、国保と違って収入が増えても保険料が一定という点です。そのため収入が多い人は、保険料が国保より安くなる可能性があります。ただし職種や地域によって加入者が限定されるため、加入できる組合がないこともあります。
 
 

国保は高いってホント?会社の健康保険との違いと計算方法

国保は高いってホント?会社の健康保険との違いと計算方法

「被扶養者になれない」「任意継続できない」といった場合には、国民健康保険一択になるでしょう。ただ心配なのが保険料です。国民健康保険はよく「高い」といわれますが、実際どうなのでしょうか?
 

国保は全額自己負担

国民健康保険が高いと言われる最大の理由は、「保険料が全額自己負担」という点でしょう

会社員の場合、保険料は会社と折半です。ところが国民健康保険に切り替えた途端、全額を自ら払わなければいけなくなります。

しかも保険料は前年の収入によって決まるので、独立した最初の年は会社員時代の収入をベースにした高額な保険料が請求されて、びっくりするかもしれません。
 
 

扶養がない、手当が少ない

会社の健康保険と比べて不利なのは、保険料だけではありません。

国民健康保険には被扶養者という概念がありません

つまりこれまで会社の健康保険の被扶養者になり保険料を払っていなかった妻や子どもも、それぞれ国保に加入して保険料を支払わなければいけません。これは家計にとっては大打撃でしょう。

また会社の健康保険にあった「傷病手当金」や「出産手当金」も、基本的にはありません。
 
 

所得控除の対象になるが、経費にはできない

保険料や手当の面で国保は会社の健保に比べて不利ですが、実は有利な部分もあるんです。それが保険料を所得控除の対象にできる、という点です。

保険料は全額所得控除の対象になるため、確定申告をすれば節税につながります

ただし保険料は事業とは関係のない支出になるため、経費として計上できません。事業資金から支出した場合は勘定科目は「事業主貸」にしましょう。
 
 

【計算しよう!】年収500万円の国保保険料

では実際、国保の保険料がどのくらいになるのか計算してみましょう。

ちょっとややこしいのですが、国保の保険料は年齢に応じて「医療分」「支援金分」「介護分」を組み合わせて算出します。それぞれの区分は「均等割」「所得割」「平等割」「資産割」を合算して計算します。

この計算式は自治体によって違うため、住んでいる地域によって保険料が変わります。また収入が上がれば原則として保険料も上がります。

たとえば東京都江戸川区在住の40歳、所得500万円(控除済)の人のケースを考えてみましょう。

東京都江戸川区在住の40歳、所得500万円(控除済)の場合?

医療分>所得割(500万円×7.80%)+均等割(4万2000円)=43万2000円
支援金分>所得割(500万円×2.36%)+均等割(1万3200円)=13万1200円
介護分>所得割(500万円×2.04%)+均等割(1万6500円)=11万8500円
 

年間保険料
1ヶ月あたり5万6808円
医療分(43万2000円)+支援金分(13万1200円)+介護分(11万8500円)=68万1700円

計算式は各自治体のホームページで公開されています。シミュレーションができるサイトもあるので、ぜひ計算してみてください。
 
 

フリーランス必読!国保の保険料を安くする方法

フリーランス必読!国保の保険料を安くする方法

ここまで読んで「国民健康保険の保険料はやっぱり高い」と思った方も多いかもしれませんね。事業にはさまざまなお金がかかるので、保険料はできるだけ抑えたいところ。

そこでここでは保険料を少しでも安くする方法をご紹介します。
 

青色申告をする

国保の保険料は収入が増えるほど上がります。逆に言えば、収入を減らせば保険料も安くなります。

収入を減らす手段としてオススメなのが「青色申告特別控除」です。

確定申告の際に青色申告をすれば最大65万円の控除を受けられるため、所得を減らして保険料を安くできます。節税にもつながるので、個人事業主は必ず利用したい制度です。
 
 

経費を活用する

収入を減らす手段として「経費をつむ」という方法もあります。経費が増えれば収入が減り、保険料の減額につながります。

また家族に仕事を手伝ってもらっている場合には青色事業専従者にすることで、家族に支払った給与を経費にできます。

ただし必要のない物を買って経費を増やすのは本末転倒ですし、事業に関係のないものを経費に含めれば税務署から調査を受ける可能性があります。また家族に給与を支払い、世帯収入が増えれば保険料があがることもあるので、注意してください。
 
 

保険料の安い地域に引っ越す

国保の保険料は地域によって大きく違います。

国保は家族もそれぞれ支払わなければいけないため、一人分では数万円の差でも、世帯全体で考えると大きな差が出ることもあります。

そこで思い切って保険料が安い地域に引っ越せば、保険料を安くすることができます。

ただし引越し費用などがかかりますので、自治体ごとの保険料を調べて引っ越すメリットがあるかどうか、長期間住む予定があるかなど、家族でよく話し合って決めてください。
 
 

まとめ

独立当初は開業届やオフィスの準備など、やることが多くてげんなりしてしまうかもしれません。ですが社会保険の手続きは最優先事項です。

いつ何があるかわかりませんので、できるだけ早く切り替えを進めましょう。
 

にしみねひろこ
この記事を書いた人

にしみねひろこ

フリーライター。6年半の報道記者経験を活かして、インタビューや各種コラム、取材、企画・広告記事、プレスリリースなどを執筆している。主な執筆分野は法律、医療、経済、人事、子育て・生活。
 
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