フリーランスは収入が不安定でリスクが大きいといわれていますが、稼ぐ力を身につければ、時間的な融通がきき家族と過ごす時間を増やすこともできるため、主婦には魅力的な働き方です。
そのため、自分で収入をつくれるフリーランスという働き方に注目が集まっています。
今回は、事務系およびライティング業務のフリーランスをしている筆者が、主婦がフリーランスになる方法、フリーランスのメリット&デメリット、フリーランスになる際の注意点や扶養控除についてお伝えします。
▼ 目次
1. 主婦がフリーランスになるには
2. 主婦フリーランスの実情
3. 主婦がフリーランスで働くメリット
4. 主婦がフリーランスで働くデメリット
5. 主婦がフリーランスになる際の注意点
6. フリーランスには確定申告も必要。主婦は扶養控除にも注意
7. まとめ
主婦がフリーランスになるには何から始めればいいの? と思う人も多いでしょう。
筆者は、兵庫県神戸市在中のシングルマザーで、フリーランスで仕事をしています。子どもは24歳と21歳で、2人とも就職しています。現在は、街中の小さい持ち家戸建てに住んでいます。
社労士事務所での助成金申請などの資料作成の仕事と、会計事務所からの記帳代行、在宅ワーク・副業・転職分野を専門とするライター業など複業フリーランス歴4年の筆者の経験を踏まえ、フリーランスへの道のりをご紹介します。
主婦がフリーランスになる一般的な方法は、得意なことやこれまでの経験を活かして、まずはお小遣い稼ぎから始めるというものです。
最近はクラウドソーシングサイトやSNS、ブログなどから個人が仕事を受注するケースも増えてきました。まずは月数千円の収入からスタートし、実績を重ねることで数万円、数十万円と延ばしていくことができます。
もし会社員として企業にお勤めの人は、副業からスタートするのがいいと思います。副業の収入が本業の収入を超えたり、副業の収入が目標額に到達したらフリーランスとして独立するタイミングでしょう。
王道ではありませんが、現在勤めている会社でフリーランスになるという方法もあります。実は筆者もこの方法でフリーランスになりました。
元はパート社員として土木調査資料作成業務を行っておりましたが、会社都合での事務所閉鎖が原因でテレワークになったのをきっかけに副業ができないかと考えました。ちょうどそのとき子どもの将来のために収入を上げたいという目標があったため、複数の仕事を掛け持ちできればと思ったのです。
そこでパート社員として働いていた会社に交渉し、より柔軟に働ける業務委託契約に変更してもらいました。会社都合での事務所閉鎖が原因だったため、パートでの契約内容のまま、勤務時間・報酬・仕事内容を変更することなく業務委託契約にできました。
契約が業務委託契約になっただけで、元上司との関わり方や仕事の仕方に特に変化はありません。
副業を許可してくれる会社は少ないと思っている方もいるかもしれませんが、今はライフスタイルの多様化により、会社員の働き方も変わってきています。会社としても優秀な人材を確保するために副業OKとするところが増えてきていますので、副業を検討している方はまず就業規則を確認しましょう。
筆者の場合、現在は他にも社労士事務所での助成金申請などの資料作成の仕事と、会計事務所からの記帳代行、クラウドソーシングでのライティングの仕事を業務委託契約で行い、パラレルに働いています。
実際にフリーランスになった場合、どのような生活を送るのか、筆者の場合を例にお伝えします。
筆者はダイニングの一角に専用の机と椅子を準備し、パソコンスペースを確保して仕事をしています。長時間パソコン作業することも考慮し、机と椅子は新しく購入しました。机は10,000円程度、椅子はゲーミングチェアーで9,000円程度だったと思います。
パソコンのデスクトップ画面とノートパソコンは、セキュリティの関係で業務委託先からの貸与品です。
個人のノートパソコンは、ライティングおよび記帳代行ソフトが稼働できる程度のスペックのものを購入しました。値段は50,000円弱でした。
プリンターについては、以前より使用していたレーザープリンターをそのまま使用しているので、在宅ワーク用に購入したものは、机と椅子、中古のノートパソコンとワイヤレストラックボールマウス13,000円、USBハブ2,000円くらいです
筆者の場合、フリーランスになったことで仕事1件あたりの単価が安くはなりました。時給に換算すると下がったことになります。
しかし、通勤時間不要・電話応対不要になり、稼働できる時間が増えたので、トータルでみると大きな収入の減少にはなりませんでした。
その上、経験を積んで仕事の効率が上がれば、1時間あたりにこなせる仕事量も増やせます。
また、ライティング業務以外は直接雇用のときと近い状況で継続して仕事をいただいているため、ある程度安定して収入が確保できます。フリーランスであれば、定年などもないので、体力が続くかぎり仕事ができると思います。
クライアントと直接業務内容の話ができるので、伝達ミスやニュアンスの相違で業務の齟齬が少なくなり、作業時間の短縮にもなっています。
フリーランスはスケジュール管理の能力が問われます。特に複数の案件やクライアントを抱えるようになり少し忙しくなってきたタイミングは注意が必要です。
筆者の場合は以下のようなポイントを意識して動いています。
いろいろなスケジュール管理アプリやソフトがあるので、それらを使用しての効率化もよいかと思います。筆者の場合は、今まで使用していたデフォルトのスマホカレンダーが一番管理しやすかったので、スマホカレンダーと卓上カレンダーにて管理しています。
家でも仕事ができるフリーランスの場合、ついダラダラと仕事をしがち。業務開始時間や終了時間をしっかり決めておかないと、日常生活に影響が出てしまいます。
筆者も意識していないと深夜まで仕事をしてしまって…ということがあるので、できるだけ決まった時間に作業するようにしています。
仕事をしない時間は子どもとの時間をめいっぱい楽しんだり、リフレッシュのために使ったり。オフが充実することで、仕事の効率もよりアップするでしょう。
主婦がフリーランスになることによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。具体的に見ていきましょう。
リモートワークができる仕事の場合、自宅や近くのカフェなどが仕事場所になります。
ぎゅうぎゅうの通勤電車に乗る必要もないため、満員電車のストレスから解放されます。また出社するために必要な準備もなくなるため、時間の余裕ができ、家事も捗るでしょう。
会社員の場合は定時があるのが一般的です。一方フリーランスの場合は、自分でスケジュール管理をするため、都合のいい時間に作業することができます。
家事や育児など、やらなければいけないことが多い主婦にはとても価値のある働き方だと思います。
会社勤めをしていると、人間関係で悩むこともあるかと思います。先輩社員に気を遣ったり、変な噂話が流れたり…そんな状況に嫌気がさしている人もいるのではないでしょうか。
その点フリーランスは、基本的に一人で仕事をするため、やり取りが発生するのはクライアントのみ。
コミュニケーションも電話やメール、チャットツールを使うことが多く、煩わしい人間関係が発生する可能性は低いです。
フリーランスは働く時間も仕事量も自分で調整できます。そのため、仕事に合わせてライフスタイルを調整するのではなく、ライフスタイルに合わせて仕事をすることが可能です。
例えば子どもの学校の参観日や行事が平日にあった場合、会社勤めだと有休を取得したり、シフト調整をしなければいけなかったりしますが、フリーランスであれば気兼ねなく参加できます。
フリーランスは主婦におすすめの働き方ですがデメリットもあります。
家で仕事ができるのは忙しい主婦にとってうれしいことですが、メリハリがつかないというデメリットもあります。生活の場と仕事の場が同じであるため、ダラダラと仕事をし続けることになってしまいます。
フリーランスであっても、仕事をする時間と家族と過ごす時間をしっかり決めたほうがいいでしょう。
自分で仕事を取ってこなければいけないフリーランスは、最初の頃は収入がなかなか安定しません。
もちろん頑張り次第で仕事を見つけることは可能ですが、最初のうちは集客がうまくいかないものです。
これまではフリーランスのメリットをお伝えしてきましたが、次にフリーランスになる際の注意点をお伝えします。
収入が安定しないフリーランスだからこそ、節税対策はしっかり行いましょう。
一般的にいわれている節税対策として、必要経費の計上があります。漏れなく必要経費を計上するためには、日頃から事業に関連している経費を記録しておく必要があるので注意しましょう。
例えば、経費にできる税金としては以下のようなものがあります。
・固定資産税
・不動産取得税
・印紙税
・登録免許税
・自動車税
・自動車取得税
・自動車重量税
・利子税
など
その他にも経費として計上できる項目はないかチェックしましょう。
フリーランスで仕事をしていると、クライアントからきびしい提案を受けることもあります。
無理な納期設定、過剰な値引き交渉…。できるだけクライアントの要望に沿いたいという気持ちもあるでしょうが、そういった提案を安易に受けると結局自分の首を締めてしまうことになります。
例えば筆者は、クラウドソーシングサイトから受けたライティングの仕事で、事前のコミュニケーションが不十分だったことが原因で、クライアントの意向とこちらが書ける内容とがなかなか一致せず、辞退させていただいた経験があります。
その一件以降は、事前のコミュニケーションをしっかりとるよう心掛け、細かく問い合わせしてから仕事を受けるようにしています。
最大限の努力はしつつも、できないときはクライアントに相談するか、はっきり断れるようになることも大切です。
一人で仕事をするということは、実際の仕事だけでなく、営業や事務、経理なども自分で行うということです。それが苦にならないのであれば問題ありませんが、本来の業務に影響が出るようであれば専門家を頼るというのもひとつです。
また経理に関しては、個人事業主向けの会計ソフトやクラウドソフトなどがあるので、うまく活用しましょう。会計ソフト『freee』は初心者でもわかりやすいように、丁寧なガイドがあるためおすすめです。
筆者はfreeeのスターターを月額1,180円(税抜)で利用しています。経理知識のない方であれば、領収証の写真から仕訳を取得できるスタンダード(月額2,380円・税抜)を利用するか、税理士への外注がおすすめです。
その他には、ホームページのドメイン取得に1,000円程度、レンタルサーバー代として年間12,000円程度がかかっています。
フリーランスになると、会社で年末調整をしてくれるわけではないので、自分で確定申告をする必要があります。
事業所得などの確定申告には、青色申告と白色申告があります。青色申告は事前申請が必要であったり、細かい帳簿の作成やさまざまな書類が必要になりますが、年間最大65万円の特別控除が受けられるなどメリットも大きいです。
その他、事業が赤字の場合は3年間繰り越すことができるため、税金対策にもなります。
もう一つ、主婦フリーランスが注意しなければいけないのは扶養控除です。
というのも、青色申告をした場合、会社員の夫の扶養に入れない可能性もあるからです。扶養内になるかどうかは、所得が基準よりも高いかどうかで決まりますので気をつけましょう。
主婦フリーランスが配偶者控除を受けるためには、以下の要件をすべて満たしている必要があります。
青色申告者の場合は、青色申告特別控除として最大65万円の控除が受けられるため、以下の計算式に当てはめて38万円以下であれば扶養控除を受けることができます。
〇円(収入)-〇円(経費)-65万円(青色申告特別控除)=38万円以下
もし、フリーランスでの収入が150万円、経費が50万円で青色申告特別控除65万円を受けているとすると、150万円-50万円-65万円=35万円となり、世帯主の扶養控除の対象になります。
筆者自身、フリーランスになる前は、収入面での不安や、継続して案件を受注できるのか、不安になることもありましたが、フリーランスのメリットを知ることで、不安以上の快適さを得ることができました。
現在の働き方に不安がある方は、テレワークでの主婦フリーランスに挑戦してみてはいかがでしょうか。
安藤稚里子
金融関係、税理士事務所、経理事務、社労士事務所、総務事務などを経て、在宅ワークを開始。さらにライティング業も開始して、複業フリーランスになる。