フリーランスになるには。必須スキルと会社員のうちに学んでおくべきこと

照沼健太

照沼健太

2020.06.26
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「今は会社員だけど、いつかはフリーランスになって自由に働きたい!」

そう考えている方に向け、私自身の実体験、そして周囲のフリーランスを見て得た知識をもとに「フリーランスになる方法」、「フリーランスに必要なスキル」、そして「フリーランスに向いている人の特徴」などを紹介していきます。


▼ 目次
1. 実例:フリーランスになる方法
2. フリーランスに必要なスキル
2-1. 実績
2-2. 人脈
2-3. 経理能力・税務知識
3. 会社員のうちに経験しておくべきこと
3-1. 多様な案件
3-2. 仕事全体の把握
3-3. 見積もりや請求書の作成・処理
4. フリーランスとして役立つ素質・能力
4-1. 生活リズムの規則正しさ
4-2. 情報発信能力
4-3. 金銭管理能力
5. まとめ


 

実例:フリーランスになる方法

まずは実例として、会社員を経て長年フリーランスとして働くようになった私が、どのようにフリーランスになったのかをご紹介します。
 

一社目:学生時代のSNS発信がきっかけで編集者に

現在30代の私はフリーランスの編集者・ライター、そしてフォトグラファーとして仕事をしていますが、仕事におけるキャリアは学生時代に遡ります。

当時、大学に通いながらブログやSNSを通して文章や写真を発信していた私は、その記事を見た編集者の方からスカウトを受け、アルバイトとして外資系メディア企業にて働くことになりました。

そこでフリーペーパーやWebサイトの編集部員として働き、編集者としての専門知識のみならず、メールの打ち方や電話の取り方など、“仕事の仕方”全般を学びました。

同時に、そうした仕事の中でできた人脈から、個人としても原稿や撮影の依頼をいただくようになりました。

当時は気付いていませんでしたが、振り返ればアルバイトとして働き始めた時点ですでにフリーランスとしての一歩を歩み始めていたということになります。
 

二社目:Web制作会社に就職

アルバイトから業務委託に契約形態を変更しながら、最初の会社で約3年間働いた後、今度は正社員としてベンチャー系のコンテンツマーケティング/Web制作会社で働くことに。

これまで培った職能を中心としながら、未経験の分野に多数挑戦。クライアント企業、広告代理店とともに、苦心しながら数々のプロジェクトに取り組み、多くの経験を得ることになりました。

メディア企業時代は純粋にコンテンツ制作に取り組んでいましたが、ここで初めて“商流”を通してビジネスを意識し始め、見積書や請求書の作成、金額交渉など、フリーランスとして独立するために役立つ知識を学ぶことができました。

また、会社員として働くと同時に、個人としての仕事も続けており、年間でそこそこの副収入を得るようになっていました。
 

独立:個人への長期案件依頼をきっかけにフリーランスへ

会社員として4〜5年ほど働いたある日、個人で長期かつ大型案件の依頼をいただきました。

それは私個人としても魅力的なプロジェクトだったのですが、独立して時間の余裕を作らなければ受けられない案件であることは明白でした。

そこで最初に行ったのは、現実的なお金の計算。退職して会社員としての収入がゼロになったとしても、その長期案件だけで生きていけるのかを試算しました(シビアに考えたかったので、他の案件による収入はあえて外して計算しました)。

1ヶ月の家賃、光熱費、通信費、食費、税金などを合計して、ベースとなる収入を超過することはないと確認したことから「生きていける」と判断し、そこで初めてフリーランスとして独立しました。
 

法人化:フリーランス4年目で法人成り

独立して最初に僕が行ったのは、お仕事で関係していた方々へのSNSを通しての周知。

そのおかげでご祝儀的に早速仕事依頼を多数いただくことができ、しばらくの困窮の心配はなくなり、独立してすぐに仕事に集中することができました。

そうして長期プロジェクトへの参加や、単発依頼の受注を織り交ぜながら仕事を続け、右肩上がりで業績を伸ばすことに成功し、4年目で法人化するに至りました。

以上のように、私個人としては特別「フリーランスになりたい」という志向はありませんでしたが、振り返ってみればすべての流れが自然とフリーランスとしての独立へ向かうようにできていたと感じます。
 

フリーランスに必要なスキル

さて、フリーランスに必要なスキルとは何なのか考えてみましょう。

私自身の経験や周囲のフリーランサーを見ていて感じるのは、大きく以下の4つのスキルです。

実績

人脈

経理能力

税務知識

 

実績

フリーランスとして独立するにあたって何よりも大切なのが「実績」です。

例えばYouTubeを見てみてください。先行者メリットが効いている古参YouTuberは別として、この1年程度でYouTubeに参入して人気を獲得しているチャンネルとそうではないチャンネルとでは「実績」に大きな違いがあります。

YouTubeにアクセスする視聴者は1日24時間という限られた時間を使って動画を視聴します。その貴重な時間を使うのなら、「役立つ」「おもしろい」など自分にとって価値あるものを観たいと思うのが当然ですよね。

そうした「信頼性」や「説得力」を作るのは、第一に“どんな人が発信しているのか”ということ。

「実績」がない素人に比べ、その道のプロの動画が観られるのは当然と言えるでしょう。

同じように、フリーランスに仕事を依頼するクライアントには限られた「予算」があります。同じ金額を払うのだとしたら、信頼できる「実績」あるフリーランスに頼みたいというのが当然です。

こうした実績を示すためには「ポートフォリオ」「SNS」「書籍」が一般的です。
 

ポートフォリオ

ポートフォリオとは、これまでの仕事実績をまとめたもの。ブログや「note」、または「Adobe Portfolio」などの専用サービスを使うことで、ネット上にあなたの仕事実績を公開するのがおすすめです。

SNS

現代においてSNSでのフォロワー数は信頼にも繋がります。仕事で得た知見に基づいた情報発信を行い、多くのフォロワーを獲得しておけば、それ自体があなたの実績として認知されるようになります。

書籍

著作は実績を示すだけでなく、あなたの権威性を高めてくれることでしょう。特にセミナー講師などの仕事においては、紙の著作を出していることはいまだに大きな効果を発揮するはずです。
 

人脈

SNS等でよほどフォロワー数が多いなどの場合を除き、実績だけであなたに辿り着くクライアントはそう多くないでしょう。

そこで重要なのが、案件に近いところにいる人との人脈。例えば、フリーランスの仕事は、次のような会話から始まることが少なくありません。

Aさん「こういう仕事ができる人いませんか?」
 
Bさん「それなら○○さんと××さんという人がいますよ」
 
Aさん「上長に提案したいのですが、過去の実績とかありますか?」

重要なのは「Bさんとのコネクション」、そして「実績」であることがよくわかると思います。

では、そんな人脈はどのように作られるのか?

異業種交流会などコネクションを作る場に出向くのも手段のひとつかもしれませんが、私がおすすめしたいのは、多種多様な案件が集まる会社で働くこと。

そこで得たコネクションは、彼らがそれぞれ別の会社に行ったとしても、そこから新しい仕事を生む場合があります。

このように「古巣からの仕事」は会社員から独立したフリーランスにとって大きな財産ですので、失礼な辞め方をしないように気を付けることをおすすめします。
 

経理能力・税務知識

フリーランスの自由なイメージからはかけ離れるようですが、お金の計算や管理はフリーランスにとって必要な能力です。

というのも、多くのフリーランスが独立後につまずくのが、お金の問題。

会社が自動的に税金を計算して給与から天引きしてくれる会社員時代と違い、フリーランスは自分で税金を計算して納めなければなりません。

報酬をすべて自分のお金だと思っていると、あとあと痛い目を見てしまいますので、ぜひご注意ください。

さらには、税金以外にも、クライアントに対しての見積もりの作成、金額交渉に始まり、外注パートナーへの発注や支払いも自分で行わなければなりません。

それら一つ一つが自らの成績(収入)に結びつくので、基礎知識を疎かにしてはいけません。

また、お金に余裕があるなら税理士に丸ごと依頼するのもいいでしょうが、全体の仕組みを把握するためにも、一度は自分で一通りの金銭管理や確定申告等を経験しておくことをおすすめします。
 

会社員のうちに経験しておくべきこと

フリーランスとして働くために必要なスキル、その多くは実は会社員としての仕事を通して学ぶことができます。

会社員のうちに次のようなことを経験しておくと良いでしょう。
 

多様な案件

さまざまな案件を経験しておくことは、実績だけではなく実力をつけることにも役立ちます。

特に「経験」は実力の大きな構成要素。新しい案件の相談が来た際に「あの案件に似ているな」と感じられれば、自信を持ってその仕事を受けることもできるでしょう。

そして、多様な案件が集まる会社は幅広い経験を積むにはうってつけの環境です。日々の仕事を独立のためのステップと捉え、一つ一つ取り組みましょう。
 

仕事全体の把握

どのようなお金の流れでその仕事が成り立っているのか、どんな人たちが関わって仕事が進んでいくのか。

そうした業界やプロジェクトの全体像を把握しておくことは、より能動的に仕事をすることに役立ちます。

フリーランスとして個人単位で仕事をするようになると、どうしても自分の担当範囲しか見えなくなってしまいがち。

さまざまな職種や役職の人と近い距離で働ける会社員のうちに、商流や役割分担などを把握しておくことをおすすめします。
 

見積もりや請求書の作成・処理

見積もりと請求はフリーランスの基本スキルです。

もし会社員としてのあなたが発注側の立場だとしたら、受注側がどのように見積もりを作成して金額交渉をしているかなどを確認しておきましょう。

受発注双方の立場から物事を見られるようになれば、きっと今後の仕事に役立つはずです。
 

フリーランスとして役立つ素質・能力

以上、フリーランスとして必要なスキルや経験をご紹介しました。

最後に「これがあるとなお良し」と考える素質と能力を紹介します。
 

生活リズムの規則正しさ

フリーランスのメリットとして「会社に出勤することなく、自分のペースで自由な場所で仕事ができる」点が挙げられることは少なくありません。

しかし、それは裏返せば「自分で自分を律して仕事をしなければいけない」ということでもあります。

特に自宅を仕事場とする場合、プライベートと仕事の境目がなくなりがち。

仕事のモチベーションが維持できなくなったり、逆にいつまでも仕事を続けてしまったりする危険性もあります。

数多くのフリーランスが「早寝早起き」「運動」「仕事部屋と生活空間を分ける」など、それぞれの工夫を凝らして生活リズムや仕事とプライベートのメリハリを作っています。

ぜひ早いうちに、自分なりのやり方で生活リズム作りを意識しておきましょう。
 

情報発信能力

フリーランスが新しい案件を獲得するためには、情報発信能力が役立ちます。

日々の仕事をこなしながら営業活動をするのは容易くはありませんが、SNSやブログを通した情報発信をルーティンとすることで、ポートフォリオ作りと営業の両方を同時に行えます。

さらにはフォロワー数を増やすことで前述の信頼性獲得にも繋がります。
 

金銭管理能力

フリーランスのスキルとして経理能力・税務知識が必要なのはすでにお伝えしましたが、それ以前にある程度の貯金を積み上げておくことをおすすめします。

というのも、フリーランスの収入は不安定になりがちで、仕事が減っている時期はつい見積もりの価格を下げてしまったり、普段は受けない類の仕事にまで手をしてしまったりする可能性があります。

そうした事態を避けるためにも、日常的に金銭管理をしっかり行い、ある程度の期間は生活を守ることができるようにしておきましょう。
 

まとめ

点と点をつなげることが、フリーランスとしての仕事につながります。

この記事では私の経験談、そして周囲のフリーランスを見て得た知識をもとに、フリーランスになる方法やそのために必要なスキル等をご紹介しました。

後々フリーランスとして仕事をしていく上では、会社員として得られる経験や安定した収入は非常に貴重なもの。

ぜひ会社員としての仕事を基盤としながらも、副業で実績や人脈を積み上げ、フリーランスとしての独立を目指しましょう。

照沼健太
この記事を書いた人

照沼健太

編集者・ライター・写真家・音楽評論家。音楽、カルチャー、広告、ビジネス等の幅広い分野にてコンテンツ制作やプロデュースを行っています。
 
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