毎日会社に出勤していたときは何気なくかわしていた同僚や上司、部下との他愛もない会話。ところがテレワークになり、雑談する機会がめっきり減ってしまったと感じている方も多いのではないでしょうか。
これまであまり注目されてこなかった「雑談」ですが、近年急速にテレワークが普及する中で、その重要性が再認識され始めています。本記事では雑談の役割や効果、テレワークに雑談を取り入れる具体的な方法を解説いたします。
雑談にどんなメリットがあるのかを知りたい方、社内のコミュニケーション不足に悩まれている方はぜひ最後までお読みください!雑談におすすめの話題についてもご紹介します。
▼ 目次
1. 雑談の役割と効果とは?
1-1. 信頼関係を構築する
1-2. 質問や相談が気軽にできる
1-3. アイディアが生まれる
1-4. ストレスを解消し幸福度を高める
1-5. メンバーの状態を把握できる
2. テレワークに雑談を取り入れる方法は?
2-1. web会議の前後の時間を有効活用する
2-2. ランチタイムやコーヒーブレイクを活用する
2-3. 1on1の時間をつくる
2-4. コミュニケーションツールを活用する
3. いざ雑談!何を話せばいい?
4. テレワークに雑談を取り入れて働きやすい環境づくりを!
全国のビジネスマン230人を対象に行った「テレワーク下の雑談」に関する実態調査によると、80%以上の人がテレワークになり雑談の機会が減ったと回答しています。
またおよそ70%の人が、雑談が減ることに対し不安を感じているという結果も。さらに、4人に3人が「雑談が減ることで仕事に支障が出る」と回答しています。
一見業務には関係がないようにも思える雑談。一体どんな役割や効果があるのでしょうか?
雑談には、信頼関係を構築する役割があります。
信頼関係はある日突然できるものではなく、日々の言動の積み重ねで徐々に構築されるもの。普段から何気ない言葉を交わしておくことは信頼関係の構築に大きな役割を果たします。
日常的な雑談によって本音を打ち明けやすい雰囲気が社内にできていると、社員同士のコミュニケーションが円滑になりチームの一体感が高まります。
テレワークで上手にコミュニケーションを取る方法については、下記の記事で詳しく解説しています。
オフィスで仕事をしているときは、常に周りに人がいる状態がほとんどです。筆者も会社に出勤していた頃は、疑問が浮かんだとき、仕事上で何か気になることがあったとき、その場ですぐに質問して疑問を解消し業務を先に進めることができていました。
しかしテレワークになると、わざわざチャットツールや電話で相手に質問しなければいけません。「こんなこと聞いていいのかな」「あらたまって質問するほどのことではないのかもしれない」と、一人で思い悩み聞くことをためらってしまう方も多いかもしれません。
雑談が気軽にできる雰囲気や仕組みをつくれていたら、些細なことでも相談や報告がしやすく、社員が一人で思い悩む時間を減らすことができます。
結果として、業務の効率化や生産性のアップにつながります。
何気ない雑談から思わぬアイディアが生まれたり、問題解決のヒントを得たりすることがあります。
他の人との会話の中で新たな視点に気づき、悩んでいたことの解決の糸口を見つけた経験をお持ちの方も多いはず。筆者も上司と話しているときに、自然と考えが整理され行き詰まっていた問題を解決できたことがあります。
アイディアは雑談から生まれる ─── 大手広告代理店「博報堂」の打ち合わせは、50%が雑談でできているというデータもあるほどです。「全然関係ないんだけど…」から始まる話の中に思わぬ仕事のヒントが隠れているかもしれません。
信頼できる同僚との雑談の中で、ポロッと漏れる仕事の愚痴や不満。考え方の相違や言われて腹が立ったこと悲しかったことなど、とにかく誰かに聞いてほしい!というときが誰にでもあるかと思います。
厚生労働省の「労働安全衛生調査(実態調査)」によると、仕事上の不安・悩み・ストレスを相談する相手として「家族・友人」(84.8%)に次いで2番目に多かったのが「上司・同僚」(76.0%)でした。
また実際に相談した人のうちストレスが「解消された」と回答した人は 31.7%、「解消されなかったが、気が楽になった」と回答した人は、60.3%に上ります。このことから9割以上の人が、相談することでストレスが解消されたか、少なくとも気が楽になる効果を感じていることがわかります。
さらに雑談が幸福度を高め、ひいては業務成績を上げたという調査結果も出ています。
ネガティブな感情を吐露することがストレスの発散になり、他愛もない会話が幸せにつながる。雑談の力は私たちが考えているよりもずっと大きいのかもしれません。
雑談はチームメンバーの状態を把握することにも役立ちます。
互いに言葉を交わすなかで、体調や調子は良さそうか、抱えている仕事量は無理のない範囲か、といったことを観察したり尋ねたりすることができます。社内に雑談する文化ができていると、「〇〇さんは最近元気がなさそうだな」などと、社員の変化に気づくことができ早めに対処しやすくなります。
部下にとっては上司が気にかけてくれているという安心感のもと、思いきった挑戦ができることもあるでしょう。
相手が自分のことを気にかけてくれていることは、何気ない会話からも伝わってくるものです。
雑談は仕事と密接な関わりがあり、チームメンバーの士気を高め業務を円滑に進めるためにも大切なものであることがお分かりいただけたかと思います。
しかし社員全員が別々の場所で働いているテレワークで、どうすれば雑談を気軽にすることができるのか頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか?
この章では、テレワークでも無理なく雑談を取り入れる4つの具体的な方法をご紹介いたします。はじめの3つは雑談時間を設ける方法、最後の1つは雑談におすすめのコミュニケーションツールのご紹介です。
1つ目は、朝礼や定例会、打ち合わせなどweb会議の前後のすき間時間を活用する方法です。
web会議の前後であれば必然的にzoomなどのビデオツールを繋いでいるため、顔を合わせての雑談が簡単にできます。会議前後に5分話すだけでも、互いの近況を知ることができチームメンバーの把握がしやすくなるはずです。
筆者もweb会議の5分ほど前にオンラインのルームに入室するようにしてから、社内の人とのコミュニケーションを円滑に取りやすくなったと感じています。全員が揃うまでの間にちょっとした会話ができることで、息抜きになったり気になっていたことを質問できたりします。
あらたまって雑談の時間を設けるのはハードルが高いと感じる方にもおすすめの方法です。
2つ目は、ランチタイムやコーヒーブレイクを活用する方法です。週に1回などメンバーが負担にならない頻度で曜日や時間を決め、zoomを繋げてランチ休憩やコーヒーブレイクを取ります。
ポイントは参加を強制しないこと。雑談の時間が社員にとって仕事のように感じてしまっては、雑談としての役割を十分に果たすことができなくなってしまいます。プロジェクトメンバー単位などあまり大人数になりすぎない方が、雑談が盛り上がりやすくなるのでおすすめです。
その時々でタイミングの合う人が集まり和気あいあいと話せる場になると良いですね。
3つ目は、1on1の時間をつくることです。こちらは厳密には「雑談」とは呼べないかもしれませんが、テキストコミュニケーションでは拾えなかった社員の状態を把握することができます。
また、1対1だからこそ信頼して深い悩みを打ち明けてくれる社員もいることでしょう。
リモートワークが長く続いている会社にぜひ取り入れていただきたい制度です。
最後は雑談におすすめのコミュニケーションツールをご紹介いたします。
Remorks(リモークス)は、「リモートワークでも社員がつながり、自発的に助け成長するオフィス環境」を提供するwebサービスです。
音声機能が搭載されているため、わざわざチャットスペースを立ち上げることなく「声」で気軽にコミュニケーションを取ることができます。
1対1の通話はもちろん、ROOM通話機能を使えば複数人での会話も可能です。「不在」「誰かと会話中」などアイコンの状態でメンバーの状況がわかるため、「今話しかけていいのかな」と悩まずに済みます。
勤怠管理機能や位置情報機能といった便利な機能も付いているので、Remorks一つでテレワークを円滑に進めることができそうです。
Remorks β版の導入後、8割の企業が「業務の効率が上がった」と回答しているデータもあります。
roundz(ラウンズ)は、離れていてもオフィスのような会話を実現する「声のバーチャルオフィス」です。チャットでは伝えるのが難しいけれど、web会議は一手間。そんな声から生み出されたサービスです。
高音質のボイスチャットを搭載しており、キーボードのキーを押すだけで同じルームにいる人とまるでオフィスにいるような感覚で会話をすることができます。あえてカメラをつけないことで、服装や背景を気にすることなく、思いたったらすぐに会話を始められるようになっています。
2クリックで画面を共有できるのも嬉しいポイント。話しかけても大丈夫かどうか一目でわかるステータス表示機能もついているので便利です。
テレワークでも社員同士のコミュニケーションを大切にしたい会社におすすめのツールです。
業務における雑談の必要性はわかった。テレワークでも社員同士、気軽に雑談が交わせるような環境も用意した。さて次は…そうです。肝心の雑談の内容です。
「ところで雑談って何を話せばいいの?」
「部下との雑談がいまいち弾まなくて…」
そんな疑問やお悩みをお持ちの方に向け、雑談におすすめの話題と気をつけるべきことをまとめました。
・天気・季節のこと
・最近のニュースや話題になっていること
・食べ物のこと
・趣味のこと
・仕事のこと
・出身地や今住んでいる場所のこと
・相手が身につけているもののこと
・最近の自分のこと
相手から質問をされたときは、Yes、Noの一言で答えられるような質問であったとしてもプラスαの返答をすると話題が広がりやすくますよ。
一つ注意点として、まだ関係性ができていないうちから相手のプライベートに踏み込むような質問をすることは避けるべきです。結婚や出自に関すること、家庭のこと、宗教に関わることなどはセンシティブな話題ですので配慮が必要です。
テレワークをきっかけに、業務には直接関係のないように見えた雑談にも、仕事を円滑進める役割や効果があることが広く認識されるようになりました。
テレワークは同じ空間で働いていない分、何も対策をしなければ雑談する機会が減ってしまいます。しかし本記事でご紹介したような雑談を取り入れる工夫を実践していただくことで、社員同士コミュニケーションを取る機会を増やすことができます。結果として、業務もよりスムーズに進むことに。
テレワークでは一人ひとりが抱えている仕事が見えにくいからこそ、細やかな声かけや雑談で互いを気づかい合い、不安やストレスを減らしていけると良いですね。
テレワークに上手に雑談を取り入れて、誰もが働きやすい環境づくりを進めていきましょう!
アカサビ ナナ
フリーライター。読む・書く・登る(山登りとクライミング)が大好きです。