在宅勤務は柔軟な働き方ゆえに「経験の浅い若手社員」が悩みを抱え、業務への意欲低下につながることがあります。管理職からしたら悩みの種といえますね。
そこで今回は
・若手社員のモチベーションの低下の理由はなにか
・若手社員をやる気にさせる方法を知りたい
という管理職の方向けに、若手社員が在宅勤務中に感じる悩みとそれを改善するための方法を解説します。
この記事を読めば、若手社員の業務への意欲を取り戻し、生産性アップやより良い人材育成につなげられますよ。
▼ 目次
1. 在宅勤務中の若手社員の4つの悩み
1-1. 孤独を感じている
1-2. オン・オフの切り替えができない
1-3. キャリアイメージがわかない
1-4. 自身の評価が分からない
2. 在宅勤務中の若手社員のモチベーションを上げる4つの方法
2-1. 積極的にコミュニケーションをとる
2-2. 評価制度を見直す
2-3. 在宅勤務のマニュアルを作成する
2-4. 目標や課題を設定する
3. まとめ
在宅勤務中の若手社員は上司や同僚などと直接会う機会が少ないと「孤独を感じやすい」です。
同調査の「リモート環境で仕事をするなかで、悩みや難しいと感じる点はなにか」では、20代若手社員は以下のコミュニケーションにおける悩みをもっていることがわかります。
「直接会えないなかで、うまくお互いの意図や気持ちが伝わらない」(52.6%)
「周囲に質問・相談するタイミングがわからない」(41.4%)
若手社員は経験不足のために業務で迷うことが多く、上司や先輩社員に相談や判断を仰ぐ機会が多いはず。
在宅勤務下ではオフィスのように先輩や上司の様子を見て「今いいですか?」と声をかけられないため、ちょっとした質問や雑談をするのもハードルが高いです。結局、質問や相談するタイミングがいつまでたっても分からないこともあります。
このような状態が続くと会社とのすれ違いを感じることにつながり、孤独感となります。また、1人暮らしの社員は孤独を感じやすいので注意が必要ですよ。
在宅勤務下では、若手社員は特に「オンとオフの切り替え」に苦労します。
社会人歴の浅い若手社員はオフィスに出社することで、プライベートモードから仕事モードに切り替わります。特に新入社員はオフィスに通勤することで、学生気分から社会人へ徐々にシフト。通勤にはこのような効果がありました。
通勤する必要のない在宅勤務ではオン・オフの切り替えがうまくいかないため、思うように業務に集中できません。
さらに
・プライベート空間である自宅で業務を行うこと
・上司や同僚が周りにいない空間であること
などにより、緊張感を維持できず、モチベーションが下がってしまいます。
実際、前述した「オンラインで働く悩みに関する最新若手意識調査」のリモート環境での仕事で悩みや難しいと感じる点という質問に対して「在宅環境で、仕事とプライベートの切り替えが難しい」(45.4%)が2位にランクインしています。
実際、私も1人暮らしの環境で在宅勤務をスタートさせましたが
・スマートフォンを見てしまう
・ベッドやテレビが目に入るため、なかなか集中できない
・誰にも見られていないという緊張感のなさから、仕事へのモチベーションが下がった
などを経験しました。
在宅勤務下では、先輩社員の姿を見ながら学べるOJTやたくさんの社員と交流する機会などが少ないため、「自身に求められる役割」や「会社の考え方」が理解しにくいです。
「ほんとうにこの会社で働き続けて良いのだろうか」と自身が自社で働きつづけるキャリアのイメージがもてないため、不信感を抱きます。
また、同様に自身の成長性も感じにくいです。
「この会社で自分は成長できているのだろうか」
「もっとスキルアップを感じられる会社に転職したほうがよいのでは」
などと考えます。
特に意欲のある若手社員ほど、自身の成長の実感やキャリアをイメージできないと「退職」につながりやすいです。
これは20代の私の主観ですが、我々の世代は生まれた時から不景気の中で育ったため「安定」を求める傾向にあります。
「若いうちからスキルを身につけ、将来楽したい」という考えをもっています。
そのため、「スキルアップが見込めない」「将来もこの会社で働いているイメージができない」と判断すると、あっという間に「退職」につながってしまうのです。
在宅勤務下では、会社や他の社員との接点が少ないため、自身の評価が見えにくいです。自信の評価が分からないと不安に陥ってしまいます。
私自身も感じていますが、若手社員の傾向として「上司から見られたい」という気持ちが強いです。
内閣府の平成30(2018)年度に実施した「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」によると、「自分自身に満足している」「長所がある」と認証している若者は、日本がもっとも少ないです。しかも5年前に比べると、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」と答えた若者がどちらも減少しています。
日本人の若い世代は自信がなく自己肯定感が低いという点があります。そのため、褒められたいという気持ちが強く、周りからの評価に対して敏感です。
私自身も在宅勤務下では上司や同僚の顔が見えないため、「自分がどのように思われているのか」と不安になった時期がありました。
結果、自信の欠如や疑心が生まれ「上司へ質問ができない」「業務に集中できない」などの悩みが発生しました。
在宅勤務下では上司側から若手社員へ積極的にコミュニケーションをとるようにしましょう。コミュニケーションをとる方法は5つあります。
ツールを導入&活用することで、web上で若手社員とのコミュニケーションが取りやすくしましょう。ZoomやTeamsのチャットはOutlookやGmailなどのメールツールに比べ、フランクにやり取りができます。
若い世代がプライベートで活用することが多い「LINE」に近い感覚でチャットができるため、若手社員は肩肘はらずに連絡できるでしょう。相談や質問をするハードルのダウンにぴったりですよ。
上長側が業務の進捗をこまめに管理することで、若手社員の孤独感の排除やオーバーワークを防げます。
ZoomやTeamsの「グループチャット」を活用し、数人で会話ができるグループを作成しましょう。
上記2つのツールのグループチャットは
①「LINE」のように肩肘はらずにやり取りができる
②グループで顔出しのwebミーティングを開催できる
などにより、親密な関係を築き、気軽に質問しやすい環境に整えやすいです。
さらに上長自らチャットを頻繁に活用することで、若手社員に「いつも動いているチャットなら気軽に質問できるな」と認識してもらいます。
例えば、情報の共有を一括メールではなくチャットのグループを活用すると活発にグループチャットが動くでしょう。
私自身も在宅勤務下ではチーム全員がメールではなくグループチャットを活用して共有を行っていたため、情報共有と一緒に分からないことを質問していました。
webツールを活用したミーティングでは「顔出し」で行うようにしましょう。顔を出すことで社員間の距離が近くなり、孤独感の排除や若手社員が質問しやすい環境につながります。
「いつどのタイミングで聞けばいいのか」こうした若手の悩みをクリアにするために定期的に対話の時間を設定しましょう。
例えば毎週月曜日の朝に必ずミーティングを行い「これからうまくいかないと考えることはなにかな?」「次の商談で予測されるトラブルはある?」などとヒアリングします。
ヒアリング時は「現在できていないこと」ではなく「できないと予測されること」を聞き出しましょう。
「できていないこと」を言わされると、若手社員の自信がなくなってしまいます。そのため、未来におこりうることに絞って、ヒアリングを行うことでコミュニケーションの増加と不安の解消に繋がります。
上記の4つ方法を実施すると、若手社員の悩みの解決となり、モチベーション高く業務に勤しんでくれるでしょう。
在宅勤務下では、出社時の評価制度を継続するのではなく、在宅勤務時の評価制度を新たに設定しましょう。
例えば「在宅勤務下で効率よく成果を出すために意識した点」を評価の加点に盛り込みます。
これで在宅勤務時でもモチベーションが下がることなく業務に挑めます。また、ダラダラと意味のない作業が減り、出社時よりも効率がアップするかもしれません。
私自身も「在宅勤務下で行うweb商談用に作成した資料」を評価してもらい、在宅勤務時でもモチベーションが高く業務を遂行することができました。
若手社員は在宅勤務下では「次に何をすれば良いかわからない」という状態に陥ってしまう可能性があります。社会経験が少なく、自発的な行動がとれないためです。
そこで「仕事の進め方」や「行動指針」などを記載した「業務マニュアル」を作ると良いでしょう。
業務マニュアルには仕事の進め方やルールだけでなく
・在宅勤務下で準備するべき心構え
・在宅勤務で集中できる環境作りのポイント
などのマインド面や環境を整える方法も記載しましょう。これで在宅勤務時でも若手社員のモチベーション低下を防げます。
私自身も在宅勤務初期に行動指針やルールがのった「マニュアル」があれば、余計な不安を感じることなく業務に集中できたな思っています。
若手社員と一緒に目標や課題を設定する機会を作りましょう。自社でのキャリアイメージの具体化や本人への評価の共有が行えます。
web面談を実施する際は目標の設定だけでなく「なぜこの仕事をするのか?誰の何の役に立つのか?」についても伝えましょう。もちろん面談は、顔出しで実施しましょうね。
これで在宅勤務下でも業務や会社への理解が深まり、自身の成長イメージをもって働いてもらえます。結果的にモチベーションアップにつながりますよ。
私自身も目標の設定や上司にキャリアプランの相談をすることでこれから取り組むべきテーマを詳細にイメージできました。
結果、在宅勤務下でもモチベーション高く、目の前の仕事に集中できました。
在宅勤務中の若手社員は複数の悩みを抱くことがあります。放っておくとモチベーションの低下となり、最悪の場合は「退職」につながってしまいます。
そのため、上司側から
・積極的にコミュニケーションをとる
・在宅勤務下に対応した評価制度を導入する
・マニュアルの設定
・目標を一緒に立てる
などを行い、若手社員が不安を感じない環境作りを行うことが大切です。
今回紹介した方法を実施して、若手社員の業務への意欲を取り戻し、売上達成やより良い人材育成につなげてくださいね。