リモートワークでのチームビルディングの課題とは?成功に導く効果的な5つの方法

星さやか

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2021.07.21
リモートワークでのチームビルディングの課題とは?成功に導く効果的な5つの方法 イメージ

「リモートワークのチームビルディングがうまくいかない」と思い悩むチームリーダー、上長の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

メンバーの様子をリアルタイムで把握しづらく、一つひとつのコミュニケーションに不便を感じやすいリモート環境下では、「こんなはずじゃないのに」と歯がゆさを感じるのも無理もありません。

これから必要なのは、従来のやり方にとらわれず、リモート環境に即した手法を実践していくことです。

そこで今回は、リモートワークにおけるチームビルディングの課題と、成功に導く効果的な方法を紹介します。


▼ 目次
1. リモートワークでのチームビルディングで課題となる5つの要素
1-1. 相手の人柄や思考を知るチャンスが激減
1-2. チームの一体感や帰属意識を築きにくい
1-3. チーム内での役割分担が曖昧、把握しきれない
1-4. チームとしてのパフォーマンスを最大化しにくい
1-5. ミスコミュニケーションや些細なトラブルの頻発
2. リモートワークでのチームビルディングで言えること
2-1. メンバー全員でチーム目標を設定、ビジョンを共有し同じゴールを見定める
2-2. 個人目標を共有し思考や価値観、強みを理解し合う
2-3. オンラインゲーム、イベントの開催で時間と感情を共有する
2-4. 感謝の気持ちを伝え合える仕組みを導入する
2-5. 定期的に面談の機会を設ける
3. リモートワークでのチームビルディングは積極的なコミュニケーションを後押しする環境づくりが要!


 

リモートワークでのチームビルディングで課題となる5つの要素

リモートワークでチームビルディングを行う際には、さまざまな課題の発生が予測されます。それらの課題の起因は「あらゆることを自分の目で確認しづらい」というひと言に尽きるでしょう。

上記を踏まえ、まずはリモートワークでのチームビルディングで課題となる主な5つの要素を解説していきます。
 

相手の人柄や思考を知るチャンスが激減

チームビルディングにおいて最もシンプルでありながら重要なのは、雑談によるコミュニケーションです。

しかし、リモートワークの中では雑談をチームビルディングに生かすことが難しくなります。なぜなら、リモートワークでは自然発生的に雑談が生まれる機会がほとんどないためです。

従来のようにオフィスにいれば、メンバーと同じ空間で時間を共有できます。そのためちょっとした空き時間やすれ違いざまなどのタイミングで、自然に会話の機会が生まれます。

リモートワークの場合そうはいきません。何らかの目的を持った上で相手に接触を持ちかけたり、持ちかけられたりする形でコミュニケーションが発生するケースがほとんどです。

そのため、メンバーの人柄や考え、思いを十分に知るチャンスが失われ、相互理解の不足が助長されます。チームビルディングの推進に、大きな不都合が生まれることが想定されるでしょう。
 
 

チームの一体感や帰属意識を築きにくい

チームビルディングにおいて重要なのは、活発なコミュニケーションです。

しかし、リモートワークではコミュニケーション量が明らかに減少するため、物事や人の動きをリアルに察知できず、臨場感も湧きません。そのため、チームの一体感や各々の帰属意識が育まれにくくなります。

さらに、これらが助長されればメンバーが孤独を感じやすくなり、外部への人材流出リスクも高まるため危険です。

元人事担当者である筆者も、チームビルディングの不具合から優秀な社員を手放さざるを得なかった苦い経験を持っています。

彼は長年自社に在籍し、業務に対する愛着や誇りも人一倍強く持っているタイプでした。しかし、チーム内での人間関係や上長の姿勢に不信感を抱き、退職という選択をしたのです。

いくら業務に愛情を持っていても、チームの状態や上長のチームビルディング手法によっては、退職を決断する従業員が生まれる可能性があります。
 
 

チーム内での役割分担が曖昧、把握しきれない

リモートワークでは、メンバーの業務風景を垣間見ることも、何気ない会話を聞ける機会もありません。そのため、業務の進捗や過程、チーム内の役割分担が見えづらくなり、チームビルディングに支障をきたすリスクが高まります。

たとえば筆者は過去に、以下のような経験をしました。

数名のメンバーにプロジェクトの進捗状況を確認したとき、にわかには信じがたいこのような回答が返ってきたのです。

「それは多分、○○さんの担当だと思います」
「質問されても、私は進捗を知らないんですよね」

さらに別のメンバーからは「誰に聞けば良いか知りませんか?」と逆に質問されることもあり、チームビルディングに不具合が生じている実態を目の当たりにしました。

チームビルディングが不足すると、上記のように役割分担の認識が曖昧となります。

そして、場合によっては誤った業務フローが浸透したり、フォローを必要とするメンバーのサポートができなかったりという事態を招きます。
 
 

チームとしてのパフォーマンスを最大化しにくい

「リモートワークならみんな業務に集中しやすくなり、チームとしてのパフォーマンスも最大化できるのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、そうとは言い切れないのが実際のところです。

チームの成果はメンバーの能力や経験、仕事ぶりはもちろんのこと、人柄や価値観、置かれている状況など、複数の要素が掛け合わされて現れるものだからです。

なかにはリモートワークが性に合って、今までにない成果を発揮するメンバーが出てくる可能性もあります。

しかし、いくら優れたビジネスパーソンがいてもチームという集団となったときに最高の成果をもたらすかと言ったら、そう断定することはできません。
 
 

ミスコミュニケーションや些細なトラブルの頻発

リモートワークではテキストでのやり取りが増加し、ミスコミュニケーションや些細なトラブルが発生するリスクが高まります。

テキストコミュニケーションは、受け手の捉え方と送り手が伝えたい実情にギャップが生じやすいためです。チームビルディングを阻むひとつの要因と言っても過言ではないでしょう。

実は筆者も、テキストによるミスコミュニケーションの経験が何度かあります。

人事になり1年ほど経過した頃、普段あまり接点のない従業員から上長に関する悩みをメールで打ち明けられました。

文面からは不安や悲痛な雰囲気が感じられたため、至急本人の所属する拠点まで足を運びました。しかし、実際に本人と話をしてみると意外にもけろっとしており、私が思っていたより事態は深刻ではなかったのです。

上記のミスコミュニケーションは、幸い大事には至る内容ではありませんでした。しかし、場合によってはクライアントやお客様を巻き込み、自社に不利益をもたらす危険性も大いに考えられます。
 
 

リモートワークでのチームビルディングで言えること

このようにリモートワーク環境下でのチームビルディングには、特有の課題や懸念点が数多くあります。しかしながら、リモートワークでのチームビルディングが不可能かと言ったら、決してそのようなことはありません。

ここからは、リモートワークのチームビルディングにおいて、おさえておくべきポイントを解説します。
 

メンバー全員でチーム目標を設定、ビジョンを共有し同じゴールを見定める

リモートワークにおけるチームビルディングの成功には、目標やビジョンの設定が必須となります。

メンバー全員で共通目標やビジョンを創出することは、チームの一体感や帰属意識を芽生えさせる有効なチームビルディング手法であるためです。

目標設定は、チームとして向かうべきゴールを明確にします。そして、チームの未来像であるビジョン設定は迷ったときの選択基準や判断をくだす際の拠り所となる行動指針です。

これらの設定がチームの行く末を左右すると言っても過言ではありません。特にリモートワークでのチームビルディングにおいては、チーム運営の基本である上記をおろそかにしないようにしましょう。
 
 

個人目標を共有し思考や価値観、強みを理解し合う

チームビルディングのひとつとして、個人目標の共有も効果的です。チームとしての機能を十分に発揮し目標を果たすためには、チームを構成する個人の人柄や特性を無視できません。

メンバー間で目標を共有することは、その人の思考や価値観、強みを知る手がかりとなります。一人ひとりのコアに触れることで、相互理解や信頼関係の構築も加速していくでしょう。

良好なチーム運営にはメンバーがお互いを応援し合える関係性が必要です。その実現のために、個性を認め合える風土を醸成するチームビルディングを検討しましょう。
 
 

オンラインゲーム、イベントの開催で時間と感情を共有する

チーム全員が参加できるオンラインゲームやイベントの開催は、お互いの距離感を一気に縮めるチャンスです。

相手の人柄を知り信頼関係を構築するには、時間を共有し、同じ空気感を味わったり感情を分かち合ったりする過程が欠かせません。

具体的には、以下のような取り組みが考えられます。

・お題に沿った料理を各自用意するランチ会
・3時のお茶会
・チーム戦のオンラインゲーム大会
・運動不足解消のエクササイズイベント

筆者も過去に、各自好きなお菓子を持ち寄りみんなに紹介しながら会話する「オンラインお茶会」を開催したことがあります。何気ない雑談から、業務中にはなかなか切り出せないぶっちゃけ話などが飛び交い、メンバー間の距離感がぐっと近づいた感覚がしました。

それ以降、業務中のコミュニケーションも全体的に活発になり、良い循環が生まれたように思います。

リアルイベントにはない手軽さがオンラインイベントの良さです。積極的に企画していきましょう。
 
 

感謝の気持ちを伝え合える仕組みを導入する

直接相手の表情を見ながら会話できる機会が少ないリモートワークだからこそ、メンバーの活躍や成果に対して感謝や喜びの気持ちを伝える文化は大切です。

感謝を表現することでポジティブなコミュニケーションが飛び交い、受け手の自己肯定感の向上やチーム全体の士気向上にも効果が期待できるでしょう。

オリジナルの手法を採用しても良いですが手間や労力がかかるため、外部サービスの利用もひとつの手です。

このようなポジティブなチームビルディングは、ほかのメンバーの人柄や仕事ぶりに興味を抱けるようになったり、自らの行動を客観的に可視化できるようになったりというメリットを享受できます。

お互いの良さを理解し合い、違いを認め合えるチーム文化が構築できるでしょう。
 
 

定期的に面談の機会を設ける

テレワークにおけるチームビルディングでは、上長が一人ひとりと面談を行う時間を設けるようにしましょう。円滑なチーム運営には、全体の方向性や動きを整えるチーム単位での取り組みが欠かせません。

しかし、それ以前に重要なのは1対1での対話の機会です。

上長はメンバーと適宜リモート面談の時間を設け、業務上抱えている不安や課題、個人的な事情、チームに対する意見などをていねいに拾い上げていくことが必要です。

サポートが必要な部分は寄り添い、今後必要なアクションを見極めましょう。

個人面談の実施により、チーム全体を俯瞰したときとは異なる発見や気づきを得られる可能性もあります。それらを今後のチームビルディングに反映していくことで、チームの方向性が整っていくでしょう。
 
 

リモートワークでのチームビルディングは積極的なコミュニケーションを後押しする環境づくりが要!

オンライン上でのやり取りに限定されるリモートワークでは、より強固なチームビルディングが求められます。そのため、メンバー全員が積極的にコミュニケーションを取れる環境を整えるのが最も重要なミッションです。

リモートワークという手法により物事が複雑化しがちですが、チームビルディングで求められる本質は対面時と変わりありません。

「こんな取り組みはどうだろう」とチームに提案するアグレッシブさや余裕を上長自身が持ち、メンバーの自発的なコミュニケーションを促していきましょう。
 

星さやか
この記事を書いた人

星さやか

フリーのWebライター。東証一部上場グループ企業にて人事責任者を経験。適応障害の発症をきっかけに働き方を見直しフリーランスに。主な執筆ジャンルは人事や働き方関連。
 

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